2027年(令和9年)から、個人の所得税の青色申告の特別控除額が最大75万円になります。

これまで当事務所で大切にしてきた「個人の方でもfreee会計を使って毎日少しずつ経理を行う」という方針に、ようやく制度が追いついたという感じがします。
あたりまえのことを、あたりまえに行う
わたしは、事業会社での勤務や公認会計士の監査補助を通じて、組織で働く以上は、お金に関することに限らず、業務を適切に行い、その処理の根拠や資料を確認できる状態にしておくことは当たり前のことだと考えてきました。
業務を行い、記録を残し、必要に応じてその内容を確認できるようにする。
これは経理に限った話ではなく、組織運営全般に共通することです。
もちろん、税理士事務所でも、こうした基本を大切にしている事務所はあります。
そのため、税理士として個人事業主の経理を支援するようになってからも、日々の取引を記録し、証拠資料を残し、帳簿と実態が一致しているかを確認することを大切にしてきました。
ところが、私が遭遇した個人事業主の中には、一般事業会社であれば当然とされることすら行わない・できないケースがありました。
たとえば、確定申告の直前の2月下旬になってから「1年分の資料をまとめて資料をやりとりさせろ、なぜそれが許されないのか」と言われたことがあります。
特に不動産所得や事業所得のある方であれば、毎年確定申告が必要なこと、会計帳簿の作成が必要なことはわかっているはずです。
だからこそ、日々少しずつ経理をするよう勧めています。
今はfreee会計に限らずスマホ対応、自動化できるアプリもあり、できる環境はあります。
また、現金残高について実査の有無を確認すると、「そんなことを言われたのは初めてだ」「現金は合わないのが普通」と激怒した方もいます。
おそらく、長年の慣行や経験のみを根拠として自己正当化して、悪い意味で慣れてしまったのでしょう。
それでも、わたしは、「実際の現金を確認し、帳簿と一致しなければ原因を調べる」という当たり前のところから説明しています。
こうした確認は、事業会社や監査の経験者だけが知っている特殊な考え方ではありません。簿記の初歩でも扱う基本です。
簿記や会計の知識がなくても、業務を適切に行い、その結果を確認できるようにしておく。
コンプライアンスの観点から考えれば、就職活動中の学生でも理解できることではないでしょうか。
freeeを中心とした、正確な経理のしくみ
従来の紙の帳簿や手入力中心の会計ソフトでも、適正な経理はできます。
しかし、実際の取引や証拠を十分に確認せず、「実査したこともない現金の残高をマイナスにならないように事業主勘定で調整する」といった帳簿上の数字だけを調整して済ませるようなやり方は、取引データが重視される今の時代には、もはや通用しないと考えています。
当事務所では、不正を防ぎ、経理を効率化するため、freee会計を中心としたしくみづくりを大切にしています。
銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、Airレジなどとも連携することで、手入力の負担を減らしながら、実際の取引データに基づいて記帳できます。
領収書などの証拠資料も保存し、処理の根拠を後から確認できるようにします。
もちろん、ソフトを使えば自動的に正しい経理になるわけではありません。
取り込んだデータの確認や、現金を扱う場合の実査など、必要な確認は欠かせません。
今回の75万円控除の改正でも、一定の要件を満たす電子帳簿や、取引データの連携から保存までをデジタルでつなぐ方法が制度上位置づけられています。
日々の取引を記録し、証拠を保存し、帳簿と実態を確認する。
こうした経理を、できるだけ負担を抑えて続けられるしくみを整えることが、これからはますます重要になると考えています。
決して国から難しい要件を押し付けられたという話ではありません。
freeeに限らず、クラウド会計の機能を活用し、日々の取引を記録し、証拠を保存し、必要な確認をきちんと行う。
そうした当たり前の経理をまじめに続けていれば、75万円控除の要件を満たすことは、決して特別に難しいことではないはずです。
一般企業では当たり前のこと
75万円特別控除について思っていることをかきました。
一般企業では、取引を記録し、証拠を残し、帳簿と実態の整合性を確認することは特別なことではありません。
個人事業主だからといって、その基本が変わるわけでもありません。
それを個人事業主に伝えたことで反発や中傷を受けたこともありました。
それでも、求めてきたこと自体が間違っていたとは思いません。
今回の改正をみて、「あたりまえのことをやる」ことを堂々と言えるようになったかなと思いました。
