保守・安全は評価されにくいけど価値のある仕事です

雑感・雑記

世の中には、何かを作って目に見える成果を出す仕事だけでなく、問題が起きないように支える仕事があります。

たとえば、システムのメンテナンスや設備の保守・点検のような仕事です。

こうした仕事は成果が「何も起きなかったこと」として表れるため、評価されにくい面があります。

・事故が起きなかった。
・設備が止まらなかった。
・いつも通り利用できた。
こうした状態は当たり前に感じられるかもしれません。

しかし、その当たり前は、誰かが日々確認し、管理し、必要な対応をしているから維持されています。

当事務所では、税理士業務についても同じように考えています。

問題が起きてから対応するのではなく、問題が起きにくい状態を作り、それを維持することにも大きな価値があります。

「当たり前」を維持するための「見えない保守」に価値がある

普段の生活では、意識することはありませんが、安全を当たり前に利用しています。
しかし、これらは何もしなくても維持されているわけではありません。

水道であれば、水を安全に届けるための浄水設備や配管の管理があります。
電車であれば、車両だけではなく、線路や信号設備などの定期的な点検があります。
建物であれば、設備点検や修繕など、安全に利用し続けるための管理があります。

利用する側から見ると「いつも通り」に見えるものでも、その裏側では多くの確認やメンテナンスが行われています。

そして、このような保守管理の仕事は、問題が起きなければ注目されません。

設備が故障してから修理する仕事は、故障で使えない状態から使える状態に戻るのが見えてわかりやすいです。

一方で、故障しないように点検し続ける仕事は、何も起きない限り存在に気づかれにくいものです。

しかし、本当に重要なのは、問題が起きてから対応することではなく、問題が起きにくい状態を維持することです。

何も起きないという結果は、偶然ではありません。

日々の確認、管理、改善の積み重ねによって作られています。

税理士業務も、見えないところで経理の保守を行っている

昔の税理士業務では、お客様のところへ訪問し、その場で帳簿や資料を確認する機会も多くありました。

そのため、お客様から見ても「税理士が確認している」「検討している」という姿が分かりやすかったと思います。

現在は、オンラインでのやり取りがメインです。

freeeなどのクラウド会計ソフトで事務所データを直接確認する、資料共有や相談はメールで行うことが多いです。

その結果、税理士が実際に何をしているのか、お客様から見えにくくなっている面があります。

実際にfreeeを利用している方から、
「税理士はfreeeで既にできたデータを少し見るだけなのに、毎月お金を取るのはぼったくりではないか」
と言われたことがありました。

しかし、これは見えている部分だけを見た考え方だと思います。

freeeなどのクラウド会計ソフトによる自動化は、設定すれば終わりではありません。

・正しく自動化できるしくみを作ること。
・自動登録された内容が適切か確認すること。
・事業内容や状況の変化に合わせて見直すこと。
こういった管理が必要です。

実際に、freeeを導入したものの、運用方法が適切でなかったために会計データが複雑になってしまったケースがあります。

「ぐちゃぐちゃfreee」と言われるものですが、たとえば次のような状態です。

・同期したデータと撮影したレシートで同じ経費が二重に登録された
・明細無視を使ったため、連携した銀行やカードの残高が合っていない
・タグを使いすぎて管理ができなくなってしまっている
・科目の登録だけ行って取引内容(備考・摘要)が空白

これはfreeeというソフトの問題ではありません。

freeeは正しく設定し運用すれば非常に会計処理の負担がなくなるアプリです。

逆に言うと正しく設定・運用・保守ができないと「ぐちゃぐちゃfreee」になってしまいます。

税理士の役割は、できあがったデータを少し確認することではありません。

初めてfreeeを利用する場合には、その事業に合った経理の流れを作ること。

すでに処理がぐちゃぐちゃになっている場合には、過去のデータを確認し、整理して適切な状態に戻すこと。

そして、その後も問題なく運用できているか確認すること。

会計ソフト会社は操作方法やシステムについては対応できますが、個別事情を踏まえた税務判断を行うことはできませんので、税務会計の専門家である税理士が必要になります(無資格者が行うのは税理士法違反)。

事務所側で行っている作業で、税務相談と違って相談から解決のような目に見える成果のない部分ではあります。

ですが、このような目に見えない保守運用も、税理士の大事な月次顧問業務の1つです。

わかりやすい例でいうと、プロのスポーツ選手は試合だけではなく、試合のない時もトレーニングや身体のケアを行っています。

選手を支える専門家も、理学療法士が身体機能やケガの予防を支え、管理栄養士が日々の食事面からアドバイスをしています。

これらは、試合と違って見えない部分ですが、異変が起きないようにしつつ、小さな変化を早めに確認する、ために日々こつこつと行われています。

freeeを活用した月次顧問業務も同じです。

毎月の会計データを確認し、処理に問題がないか、改善できる点がないかを確認することは、経理の状態を維持するための保守作業です。

この確認作業は目立つものではありません。

しかし、問題が起きてから対応するのではなく、問題が起きにくい状態を維持するための重要な仕事だと考えています。

なお、当事務所は、月次顧問まで必要ないと考える方への対応も行っています。

スポット相談として「freeeを使い始めたが、じぶんでfreeeを使い続けるにあたって、ぐちゃぐちゃにならないための使い方」をレクチャーしてきました。

・これからfreeeを使い始めるので、最初の設定や使い方を確認したい
・現在のfreeeの使い方が適切か確認したい
・今後も自分で経理を続けられる状態にしたい

お客様自身で経理を行いたいという場合でも、最初のしくみづくりやぐちゃぐちゃにならないための使い方で専門家のアドバイスを受けることで、将来的なミスや負担を減らすことができます。

おわりに

安全や保守という仕事は、問題が起きたときほど注目されます。

しかし、本当に価値があるのは、問題が起きる前に確認し、問題が起きにくい状態を維持することです。

当事務所では、freeeを活用しながら、お客様が安心して長く事業を続けられる経理環境づくりを支えています。

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