確定申告の医療費控除では、電子申告のe-taxとマイナンバーのマイナポータルを連携して、申告に必要な医療費の情報を取得することができます。
しかし、今回(令和5年分)の確定申告の際に、島根県の国保と医師国保、沖縄県の後期高齢者で、一部の月の医療費情報がうまく連係ができない状態になっていました。
確定申告期限までには連係の不具合は解消されていますが、早めに申告した人は医療費が少なくなっている可能性があるとのことです。
(確定申告期限後でも、更正の請求という手続きで、少ない医療費を修正して税金を減らすことができます)
マイナポータル連携は、ほかにも気になる点があったため、わたしは確定申告では使用していません。
現状だと、エクセルで医療費を集計するのがベストだと思ったからです。
今回は、医療費控除の計算は、マイナポータル連携よりもエクセルをお勧めする理由について書いています。
マイナポータルの問題点
過去に「医療費控除で医療費のお知らせを使うデメリット」という記事を書いたことがあります。
マイナポータルにおいても、医療費の情報が実際の医療費と一致せず、しかも遅いという、医療費のお知らせと同じデメリットがあるためです。
医療費の情報が実際のの医療費と一致しない
マイナポータルでは、「医療費通知情報」として、病院や薬局での医療費の情報や窓口負担額を確認することができます。
しかし、現時点では残念ながら、すべての医療費を確認することができません。
たとえば、接骨院や鍼灸院といった、病院以外で保険を使った施術を受けた場合や、自費診療(保険使えず全額自己負担)など、明らかな保険治療費なのに対応していません。
また、医療費に入る通院交通費も薬局で自分で薬購入も反映されません。
結局、すべての医療費を適正に反映しているわけではなく、自分で追加や調整が必要になるため、かえって手間がかかってしまいます。
家族分の医療費確認が手間
医療費控除の対象になる医療費は、確定申告する自分だけでなく、家族分の医療費も対象になります。
しかし、マイナポータルの医療費は自分だけしか確認ができず、家族分を連携させようとすると、確定申告する自分が家族の代理人となる手続きが必要です。
ふだん確定申告しない人がe-taxで苦労しているうえに、さらにマイナポータルでも大変な手続きが必要というのは、かなりハードルが高いように思えます。
しかも、苦労して連携させても、上記で書いたように、一致しない場合もあります。
そのため、手間と正確性のバランスをとった場合は、現状は普段から紙の領収証などで家族分を確認するほうが速くて正確という状況になっています。
e-taxとの連携可能時期が遅い
現状の仕様としては、例年2/9を目安に、マイナポータルでの医療費情報とe-taxの連携が可能になります。
2月末や3月初めに届く保険団体からの「医療費のお知らせ」に比べたら早いほうですが、それでも早期に確定申告をしたい側としては遅いと感じてしまいます。
患者さんが負担しない12月分の治療費については、その治療内容のレセプトを病院が1/10までに社保や国保に提出して、社保や国保が内容をチェックして、2/20頃に病院に支払われる、という流れがあります。
その流れからすると、2/9は遅くないのかもしれません。
しかし、1月初めに確定申告サイトが開設され、早めに申告をしておきたい立場としては、2月だと遅く感じてしまいます。
エクセル集計をお勧めする理由
面倒ですけど、医療費については、日ごろからエクセルで集計をして、国税庁の医療費の明細書に転記する方法が、現状では一番早くて確実だと思います。
家計簿や経理と同じように、日ごろから医療費について、治療費や薬代、通院のための公共交通費など、医療費控除の対象になるものを、医療機関や薬局などで入力しておきます。
エクセルに都度入力しておけば、年明けにはその内容を集計して、国税庁のひな型にまとめるだけで、すぐに用意できます。
集計自体は、「支払日」「支払先」「家族の誰の分か」「支払金額」をエクセルで項目を作って入れていき、年明けに集計するだけなので、エクセルが苦手でも何とかなるかとおもいます。
仮に、エクセルを使わず、領収証を1年分ため込んで電卓で手計算したとしても、2/9までかかることはないでしょう。
速さと正確性という点からは、エクセルで日ごろから管理しておくのがお勧めです。
ただし、基本的に年間の医療費の合計が10万円を超えた場合が医療費控除の対象となるため、明らかに10万円いかない場合は、領収証をまとめておくだけで、普段は何もしなくていいかなと思います。
わたしは、なんとなく10万円行きそう、と思った年は、そう思った時点で1月からの領収証をエクセルに入力して確定申告に備えています。
10万円明らかにいかない年は、領収証の束はあっても何もしていません。
国が用意している医療費控除の明細書のひな型は、下記のリンク先です。
エクセルとPDFどちらも用意されています。
おわりに
医療費控除の計算は、マイナポータル連携よりもエクセルをお勧めする理由について書きました。
様々な情報が連携可能となっていて、将来的には便利になる気はします。
ただ、情報の不完全さと速さと手間を考えると、自分で普段からエクセルで管理しておいたほうが、現時点では良いかと思います。