医療費控除で「医療費のお知らせ」を使うデメリット

税金

協会けんぽなどの保険証の発行元(保険組合)から、「医療費のお知らせ」が届きます。
これは、保険組合が一年間に支払った医療費の一覧を通知するために発行しています。
平成29年より、この「医療費のお知らせ」を確定申告の時の医療費控除の資料として使うことができます。

しかし、わたしは「医療費のお知らせ」を使って確定申告をしていません。
なぜなら、「医療費のお知らせ」で医療費控除を使うには問題があるためです。

今回は、「医療費のお知らせ」で問題となることについて書いています。

「医療費のお知らせ」が手元に届くのが遅い

医療費控除を受けて税金(所得税)の還付を受けるための確定申告は、法律では翌年1月1日からできることになっています。
実際には、その年の確定申告に対応するe-taxのシステムが公開されるのは、翌年正月明けてからです。

どちらにしても、早く申告をして税金を返してほしいという場合は、1月中には確定申告を終わらせることになります。

しかし、「医療費のお知らせ」が届くのは2月になってからです。
わたしは勤務先から受け取るのは、毎年2月末ぐらいでした。

自分で申告することが難しい人のために開いている、地元税理士会の確定申告相談会は、毎年2月の中旬~20日前後のため、「医療費のお知らせ」を受け取る頃にはすでに終了しています。

そのため、「医療費のお知らせ」を待ってから確定申告、では遅いかなと感じています。

「医療費のお知らせ」だけでは、情報が足りない

国のルールでは、「医療費のお知らせ」は医療費控除の資料として使えるとされていますが、実は足りない情報がいろいろあります。

具体的には、下記の2つのケースがあります。
どちらにしても、「医療費のお知らせ」をそのまま使うには問題があるため、内容を確認して、追加や修正を行う必要があります。

「医療費のお知らせ」だけだと足りずに損をするケース

まず、「医療費のお知らせ」には、1月から11月までの期間の医療費が書かれています。
つまり、12月の医療費については書かれていません。
そのため、12月分の医療費については、自分で領収証を集計する必要があります。

「医療費のお知らせ」は、保険証を使った治療費だけが書かれています。
保険証を使わない自費の治療費については書かれていません。
医療費控除の対象とならない自費の治療費もありますが、医療費控除の対象となる治療費であれば、自費でも医療費控除の金額に入れることができます。
たとえば、海外旅行先のケガで現地の病院での治療費が該当します。

また、医療費控除ときくと、病院や薬局で医療費だけ支払ったお金だけが対象と思うかもしれません。
電車などの公共交通機関を使った通院費も、通常の通院に必要と認められるものは、医療費控除の金額に入れることができます。

「医療費のお知らせ」の注意書きにも、「この通知に記載されていないものは、別途領収書などで医療費の明細書を作成して確定申告するように」と書かれています。

「医療費のお知らせ」だけだと多すぎて問題になるケース

「医療費のお知らせ」は、かかった治療費の総額と負担割合をもとに本人の負担額を計算しています。

そのため、本人の負担額として書かれている金額が実際の治療費と異なる場合があります。

たとえば、出産一時金や保険会社から入院給付金を受け取った場合は、その出産や入院の費用から受け取った金額を控除する必要があります。(費用より受け取った金額が多くてもほかの治療費から控除する必要はありません)

また、子どもの治療費については無料としている市に住んでいても、本人負担額が書かれているケースがあります。
実際に支払っていないため、負担したように書かれていても医療費控除の対象になりません。

結局、内容をチェックして実際の支払額と異なっていたら修正する必要があります。

家計簿や経理と同じく、医療費も普段から集計しておく

上記のように、「医療費のお知らせ」は遅いうえ、内容が不十分なため、医療費控除で使うことは実際には難しいと思っています。

結局は、家計簿や経理で普段からお金を管理するのと同様に、医療費と交通費を管理しておくのが一番確実で早いかなと思います。

わたしは、病院名と治療費、交通機関と金額の4つをエクセルで集計するようにしています。
とはいっても、1年間で10万円超えることが多くないため、越えそうになったら10月ごろから少しずつ集計していました。

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