事務は誰でもできる仕事か

雑感・雑記

事務といっても、組織によって行う業務は様々ですが、お茶くみやコピーのイメージだったり、専門知識をあまり使わない単純作業のイメージがあるようです。
(経理や医療事務など専門性のある事務は別ですが)

冗談半分で「事務でもいいから雇って」という話を何度か耳にしたこともあります。

今回は、事務職をやってみて感じたことについて書いています。

事務に求められたスキル

事務と聞いてイメージするのは、人とかかわらず、社内で席に座って何か作業しているイメージが強いでしょうか。

確かに、事務職はお客さんとのかかわりはほとんどありません。
しかし、会社内のいろいろな人と取引先とのかかわりは多くあります。

組織の方向性や人事の情報(役職者や各部署のことについて等)、福利厚生など、会社に関する情報を色々知っておく必要があります。

小さな組織の場合、経理や人事などの区分がないため、組織内の仕事のなんでも屋のような感じで、誰がやるかわからないこと、組織のなかであいまいな部分は事務に回ってくることが多かったです。

ただ、仕事として回ってきても自力で解決できないこともあるため、問題解決のためにはどの部署の誰に聞いたらいいかを知る必要があります。

過去に、病院機能評価という病院の取り組み全般について外部機関から評価を受けるための準備の仕事をしたことがあります。
そのときは、病院のことについて持っている知識をフル活用して、担当の割り当てや審査のための準備など、見えない部分の作業の大半を、わたしが行いました(下記に書いています)。

事務の仕事の性質としてはマルチタスクが基本になります。
請求書や納品書、勤務表や有給休暇申請などのチェックといった集中力が必要な作業の合間に、来客や職員の対応、電話受けなどで作業を中断することが多々あります。
お茶くみやコピーもこの合間にやっていました。
そのため、集中しつつも周囲への注意も常にしておくことが求められました。

事務というと、パソコンが使えないといけないイメージがあるかと思います。
わたしがいた組織は、古かったこともあってPCスキルは普通に文字が打てればどうにかなるレベルでした。
PC関係は、当時より10年近く前に在籍したシステム会社の方がはるかに進んでいました。

パソコンすら使わない手作業が多く、規模のある組織やITへの理解のある組織だとシステム化や自動化できるだろうことまで手作業でした。

経理を行うために、仕訳伝票の専用プリンターで印字して自分のハンコを押して上司のハンコを押してもらいにいく…という、会計事務所でも今どきやってないことを経験できたのは、ある意味貴重かもしれません。

このように、小さな組織や古い組織の場合は、パソコンや事務処理のスキルというよりも、社内の情報を把握して問題解決すること、マルチタスクや集中力を削がれる環境でも事務処理ができるか、という特殊なスキルが必要とされました。

事務職の問題点

わたしが事務職をやって感じた問題点は、専門的なスキルはほとんど身につかないことです。

事務の業務は、営業で何か大きな契約を取った、企画で何かプロジェクトを成功させた、という節目のあるものではなく、組織が日常をトラブルなく過ごすための業務が大半です。
毎月の定型業務でもうまくいった月とそうでない月はありますが、客観的にはできて当たり前とみられています。
そのため、基本的には何か成果を出した、という感じの仕事ではなかったです。
(経理も少しやりましたが、税理士の実務経験としては除外した位です)

会社の経営側の視点で問題解決はしないといけないけれど、事務職員のため権限はない・モノを申せない・改善できない、というジレンマもあります。
先に挙げた「病院機能評価」は、普段から経営管理の視点で病院内部を見ていたからできたことかなと思います。

社内の情報を把握して問題解決すること、マルチタスクや集中力を削がれる環境でも事務処理ができるかという特殊なスキルは、必要とされることから身につくと思います。

ただし、これがほかの組織でスキルとして評価されるか…は組織によるため、専門性を身につけて成長・貢献してやりがいを感じたい、というタイプだと合わないかと思います。

おわりに

事務職をやってみて感じたことについて書きました。

求められるスキルや業務内容は、会社によってさまざまで、一概にわたしのような感じではないかもしれません。

しかし、小さな組織の事務は、意外と特殊な世界なので、安易に「事務でもいいから雇って」で雇われたら誰でもできる仕事ではないと思います。

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