青色事業専従者給与は支給ルールと勤務実態を残す

税金

青色事業専従者給与は、一定の要件を満たすことで、家族へ支払う給与を必要経費にできる制度です。

一見すると「家族への給与を経費にできる便利な仕組み」としてシンプルに見えますが、実務上はもう少し注意が必要です。

「届出の範囲内の金額だから問題ない」「家族だから言わなくても分かっている」といって、勤怠管理を行っていないだけでなく、支給ルールも事業主の頭の中ですべて決めて、感覚のまま運用されているケースがあります。

しかし、青色事業専従者給与は、届出書に記載した金額の範囲内であれば自由に給与額を調整できる、というものではありません。

実際にどのような仕事をしているのか、どの程度事業に従事しているのか、そしてどのようなルールで給与を決めているのかを、後から説明できる状態にしておくことが大切です。

少人数の場合、労務上は給与規程の作成義務がないケースもあります。

だからといって、何も記録を残さなくてよいわけではありません。

立派な規程や複雑な勤怠管理を用意する必要はありませんが、普段から「なぜこの給与を支払っているのか」を説明できる程度の記録を残しておくことをおすすめします。

届出を提出しただけで終わりではない

青色事業専従者給与の届出は、この制度を利用するための前提となる手続きです。

しかし、届出を提出したことと、その後の給与支給が常に適正であることは別の話です。

青色事業専従者給与は、届出書に記載した内容を前提として支給するものです。

そのため、「今年は利益が多そうなので増やしておこう」「利益が少なそうだから減らしておこう」というように、事業の利益に合わせて自由に給与額を調整するものではありません。

実際の勤務状況や業務内容などによって、届出時の予定と異なることになる場合もあります。

そうした場合には、なぜ変更することになったのか、その事情を説明できるようにしておくことが重要です。

特に、数年後に給与の金額や支給状況について確認されたとき、「なぜこの金額になったのか」を説明できる資料が何も残っていないと、後から状況を思い出して説明することになってしまいます。

届出を出したら終わりではなく、実際の運用についても記録を残しておきましょう。

勤務実態と支給ルールを普段から残しておく

わたしが実際に確認してみると、「家族はどのような仕事をしていますか?」と聞かれても、「いろいろ手伝ってもらっています」という説明だけで具体的な勤務状況を答えられない方が大半でした。

青色事業専従者給与は、単に家族が事業を手伝っているから給与を支払える、という制度ではありません。

実際にどのような仕事をしているのか、どの程度事業に従事しているのかを説明できる状態にしておくことが大切です。

そのため、出勤日、勤務時間、担当した業務などを簡単に記録しておくことをおすすめします。

・○月○日 9:00~15:00 請求書作成、入金確認
・○月○日 9:00~17:00 商品の発送、在庫確認
といった簡単な記録やタイムカードの打刻だけでも、何も残っていない状態とは違います。

また、給与についても、「何となく毎月この金額」という状態ではなく、あらかじめ支給ルールやを決めておきましょう。

・基本給 月○万円
・休日出勤 1回○円
・特定の業務を担当した場合 1回○円
など、実際の業務や勤務状況に応じたルールを簡単なメモにしておくだけでも構いません。

届出時に想定していた勤務状況や給与額と実際の状況に違いが生じたのであれば、その理由も分かるようにしておくとよいでしょう。

家族ではなく第三者に働いてもらっているケースであれば、「仕事内容は何となく」「勤務時間は記録していない」「給与の決め方も特にない」という状態で給与を支払うことには、違和感があるのではないでしょうか。(働く側の立場では、仕事内容や実態不明な給与体系の職場は敬遠すると思います)

家族だからこそ曖昧になりやすい部分ですが、給与を支払って経費計上する以上は、ほかの経費と同じく証拠とともに説明できることが必要です。

大切なのは、立派な就業規則や勤怠システムを導入することではありません。

「いつ、どのくらい、どのような仕事をしていたのか」「その勤務や業務を前提として、なぜこの給与額になっているのか」が後から確認できる状態にしておくことです。

おわりに

青色事業専従者給与は、届出書を提出して、その範囲内で自由に給与を決めればよいという制度ではありません。

届出に沿って給与を支給し、実際の勤務状況や業務内容などによって届出時の予定と異なることになった場合には、その事情を説明できるようにしておくことが重要です。

そのためには、
・実際にどのような仕事をしているのか
・いつ、どの程度事業に従事しているのか
・どのようなルールで給与を決めているのか
・実際にそのルールに沿って支給しているのか
といったことを、普段から記録として残しておくと安心です。

家族への給与だからこそ、口頭や感覚だけで済ませてしまいがちです。

まずは、勤務実態と支給ルールを簡単に残すところから始めてみてはいかがでしょうか。

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