専用の管理ソフトを買うほどでもない、でもノートに手書きは大変だ、という理由から、現金出納帳をパソコンに入っているエクセルで作成している人も多いかと思います。
エクセルで作成することで、現金出納帳の作成が楽になるだけでなく、会計ソフトにエクセルを取り込むことで会計処理も楽になるというメリットがあります。
しかし、誰でも使えそうに見えるため、誤って現金出納帳の設定を壊してしまうなどの事故が起こる場合があります。
今回は、エクセルで現金出納帳を使うために必要なことについて書いています。
エクセルの知識
現金出納帳でお金の出入りを管理する上では、特に関数や計算式の知識は必要ありません。
多くの場合、本社の経理担当者や顧問の会計事務所、マイクロソフト公式など、エクセルや会計に詳しい人が作った現金出納帳のひな型を使うからです。
(設定された関数などの設定を変えてしまうと問題になります)
お金の出入りについて入力ができればそれで充分です。
入金か出金かの区分・日付・金額・勘定科目・摘要(支払先などの内容)を、決められた場所に入力するだけのため、特に問題はないかと思います。
「電車代の場合は旅費交通費を選んで入力する」などの具体例やマニュアルを用意することで、会計の知識がない人でも問題なく入力することができます。
万一、科目や摘要が違っていても、領収証などの資料と入出金の区分さえ合っていれば、あとは経理担当者や顧問事務所などでチェックして修正できるので、あまり気にしなくて良いかと思います。
それよりも、入力に関して一番大事な知識は、現金出納帳の「ひな型を壊さない」ことです。
現金出納帳は、金額の変動や集計は関数で計算式が設定されており、入出金の額を入力するだけで、計算式がはたらいて今の現金残高がわかるようになっています。
また、設定によっては、勘定科目が手入力ではなく選択肢から選ぶ方式になっている場合があります。
日付で入力漏れがあったから行を追加した場合や、二重に入力していたから行を削除した場合に、設定されていた計算式が働かなくなり、エラー表示されて現金残高もわからなくなる、という事故が起こります。
入力済みの過去の日のところに行を追加して入力するのではなく、下の行に入力して並べ替える(並べ替えの方法も注意が必要です)、削除はセルを選んでDeleteキーで消す、など、ひな型の設定を壊さない修正方法はあります。
じぶんで修正する方法がわからなければ、ひな型を作った人やわかる人に修正してもらう、という選択肢もあります。
恥ずかしいかもしれませんが、勝手に修正してひな型を壊して現金残高をわからなくしてしまうよりは良い選択です。
いちどひな型を壊してしまうと、壊れた月だけでなく、翌月以降もその壊れた月の内容を引き継いでしまうため、ひな型を壊さない修正方法を知ることが大切です。
責任感と倫理観
現金を扱うため、責任感と倫理観が大切です。
責任感と倫理観のない人が現金を扱ってしまうと、横領や私的な使い込みだけでなく、無駄づかいも起こる危険があります。
また、現金残高が合わない場合に「このくらい合わなくても、気にしすぎではないか」という考えで原因究明をしない、ということも起こります。
本来なら、実際に手元にある現金残高と現金出納帳が合っていて当然です。
お金の受け渡し誤りなどの事故は、発生する可能性はゼロではありませんが、合わない原因がわかれば、再発防止を考えるなど、改善することができます。
ひどい場合は、エクセルのひな型を手入力に変えて、一見合っている現金出納帳を偽造するということもあります。
そのため、現金事故は起こさない・起こったらすみやかに報告・原因究明や再発防止をするという責任感と倫理観を持つことが大切になります。
また、現金出納帳のひな型が壊れた場合や修正方法がわからないなどのエクセルに関するトラブルもきちんと報告・相談できるのも、責任感と倫理観に含まれると思います。
おわりに
エクセルで現金出納帳を使うために必要なことについて書きました。
手書きの現金出納帳と違い、作成・修正がかんたんで、集計や会計ソフトへの取り込みなど業務を効率化できる点は、エクセルの現金出納帳のメリットです。
しかし、かんたんに修正できてしまうことから、設定していた算式が改変されて正しい金額がわからなくなるなどの問題が発生します。
そのため、ひな型を壊さないエクセル操作、責任感と倫理観をもつことが大切になります。