税理士になるための資格としては、税理士試験に5科目合格する・大学院で一部科目の免除を受ける・公認会計士や弁護士になる、などの方法があります。
わたしは、税理士試験に5科目合格して税理士の資格をとりました。
一度取った科目の合格は一生有効で、合格が無駄にならない反面、難易度や競争率の高さから
2006年に受験開始、2012年に5科目合格をそろえることができました。
過去に税理士試験についてはブログでいろいろ書いてきました。
しかし、自分の税理士試験の受験開始から合格までの全体を書いたことがなかったため、今回は書いてみることにしました。
受験勉強を始める前に確認したこと
受験資格の確認
税理士試験を受験するためには、受験資格が必要です。
会計系の最上位資格の公認会計士の試験は、受験資格はないのですが、税理士の試験は、卒業した学部や取った単位など指定があり、ない場合は日商簿記の1級合格など受験資格自体が狭くなっています。
わたしが税理士受験を考えたのは、2006年の春でした。
当時の税理士試験は、社会学部卒の大学生だと受験資格がありませんでした。
しかし、法律や経済の単位を取っていれば、社会学部卒でも受験資格があり、わたしは法律の単位を取ったことがあったため、無事に受験資格がありました。
なお、現在は社会学部卒の場合、普通に受験資格があります。
受験予備校の選択
税理士試験の受験勉強は、受験予備校(専門学校)に通って勉強することになります。
大手予備校は、資格の大原、TACなどいろいろあります。
わたしは、過去に日商簿記の勉強をしたときにTACの教材を使っていたため、税理士試験もTACに通うことにしました。
2006年4月にTAC池袋校で2年で5科目受験するコースに申し込みました。
特典として4月速習コース(4月からの3か月の受験で試験を受けるコース)が無料だったため、消費税法を受験しました。
申込時にもらった合格体験記には、同じ大学・学部卒の方がいたことが大きな励みになりました。
各年の受験結果
2006年
TAC池袋校で消費税法の4月速習コースを受け始めました。
…といっても、池袋で受けたのは最初の数回で、その後、兵庫の実家に戻ってからTAC神戸校に通学しました。
通常は1年かけて勉強するものを3か月のハイペースでの勉強、しかもはじめての税理士試験の受験勉強。
税法理論の暗記がほとんどできずに苦しみました。
また、消費税法の先生の授業が池袋の先生と比べて自分に合わなかったため、このまま受験勉強が続けられるかすら不安になっていました。
偶然、神戸の先生が休みになって、代講で梅田校から来たの先生の授業のほうがよかったため、以後は梅田校で受講し、無事に本試験まで勉強できました。
税法理論は最初全く覚えられなかったですが、なんとか4か月で20題程度覚えて本試験を受けました。
ただ、覚えていない理論が出題されて不合格でした。
計算は合格ラインだったのと、覚えていた理論はきちんとかけた手ごたえはあり、1年間じっくりやれば大丈夫という自信になりました。
2007年
2年5科目コースの1年目です。
簿記論・財務諸表論・消費税法の3科目をTAC神戸校で受講しました。
簿記論・財務諸表論は初学者向けのコース、消費税法は年内完結・上級コース。
今回はどの科目も勉強の仕方から教えてくれたいい先生でした。
3科目受験も授業はきちんと平日1科目(月木が簿記、火金が財表、水が消費)って決まっていたので、勉強パターンが組みやすかったです。
簿記財表は似たペースで進むから、それぞれが復習にもなって効率よくできました。
特に今回から担当になった消費税法の先生は、理論の暗記や維持の仕方、テキストのマーカーの引き方や色分けのコツについても教えてくれたので役に立ちました。
毎回のレジュメも図解多めでわかりやすかったです。
先生のスタンスが、途中で脱落者を出さないことだったので、ゼロから丁寧に教えてくれました。
この先生がのちに試験委員になってたときはびっくりしました。
普段の成績は、簿記論は平均点前後、財務諸表論は平均点より少し上、消費税法は上位でした。
ところで、全然知らないほかの受講生から、いきなり「3科目は無理だから2科目に絞るべき」という謎のアドバイスを受けました。当然ですが、スルーしました。
本試験は、どの科目も合格線上で結果発表までわからない状態でした。
簿記論のみ合格し、他2つは落ちたため、上記の謎アドバイスを受け入れて苦手な簿記論を捨てていたら、税理士になれていなかったかもしれないと考えると今でも怖くなります。
2008年
2年5科目コースの2年目。
消費税法と固定資産税の年内完結・上級コース・所得税法の初学者向けコースの3科目をTAC神戸校で受講しました。
財務諸表論不合格のため、1月からは所得税法をやめて、消費税法・財務諸表論・固定資産税の上級コースの3科目に変更しました。
不合格の悔しさから、財務諸表論と消費税法を中心に勉強し、常に上位を維持するようにしていました。
財務諸表論は、去年と違う先生で、この先生は過去問や予想される問題を色々授業で取り上げてくれたため、TACの教材以外にもその先生の予想問題も暗記し、余裕をもって本試験に臨むことができました。
消費税法は去年と同じ先生。もう一度基本からやり直しつつ、去年より実力を伸ばすことができました。
2科目に注力した結果、固定資産税はほとんど勉強できませんでした。
それでも、固定資産税の先生には、限られた時間でどう勉強するか、などお世話になりました。
結果は、財務諸表論のみ合格。
固定資産税は仕方ないにしても、消費税法が落ちたのが悔しかったです。
2009年
2年本科生が終わり、通常の2科目受験。
12月までは、所得税法の年内完結コースをTAC梅田校で受講(神戸には講座がないため)。
1月からは、所得税法の上級コースをTAC梅田校で、消費税の上級コースをTAC神戸校で受講。
所得税法は年内は週に3回というハイペースで、計算だけでも手いっぱいでした。
担当の先生が、計算は図解がとても丁寧で分かりやすかったものの、理論は暗記とだけ言う感じだったので、理論暗記には相当苦労しました。
上級演習でもあまりいい成績がとれず、授業にとりあえずついていくという感じでした。
消費税法は、また同じ先生のお世話になりました(3年目)。
ミスがないように、きちんと結果が出せるように心がけ、上級演習では神戸校では、ほとんど1位をとっていました。
また、「慣れないアウェーの環境に弱いかもしれないから一度大原の模試を受けてみたら」と先生のアドバイスを受け、大原の公開模試のみ受けて上位50位以内に入って自信がつきました。
消費税法の試験委員がちょうど入れ替わりで、この年から新しい人になったのも幸いし、4回目の受験で無事に合格できました。
2010年
仕事と受験の両立を考え、東京に転居しました。
1月から、TAC池袋校で所得税法の上級コースを受講。
12月までは独学で去年の教材復習と理論の維持をしていました。
大阪で5人くらいだった受講生が、池袋では30人以上いたことが衝撃でした。
テキストの作成も担当している先生だったこともあり、計算・理論ともわかりやすく、実力は一番伸びた年でした。
ときどき演習の上位に入れることもありました。
仕事の都合で出席できなくても、他の曜日で水道橋校や新宿校などでも振替授業を受けられるという恵まれた環境だったのもよかったです。
自信をもって本試験に臨んだのですが、新しい試験委員で出題が変わったこと、計算で上場株式の配当と譲渡の判断を誤り、源泉徴収税額や配当控除なども間違えてしまったことが致命傷でした。
結果は、不合格。
たぶん、これができていたら合格できていたはずです。
2011年
年内は、TAC池袋校と新宿校で、所得税法の年内上級コースを受講。
1月からは、TAC池袋校で所得税法の上級コースを受講。
去年と違う先生になりましたが、去年の先生と教え方が同じ(東京の先生同士仲がいい感じはあった)で、去年より更に実力を伸ばせました。
去年同様、授業に出席できなくても振替授業や先生の手厚いフォローという良環境で、演習も上位を維持できていました。
本試験の計算で、またも上場株式の配当と譲渡の判断を誤ってしまい、自己採点で気づいて頭が真っ白になりました。
ただ、理論がTACの予想とされていなかった2問で、それをきちんと書けたことが幸いして、無事に合格できました。
自己採点の様子だと先生からは微妙な反応でしたけど、無事に合格を報告できてほっとしました。
2012年
年内はTAC新宿校で所得税法の年内上級コースを受講。
所得税が無事に終わったため、1月からは、TAC新宿校で住民税の速習コースを受講。
所得税法が結果出るまでわからない状態だったため、土曜の夜クラスで年内上級コースを受講しました。
所得税法が無事に合格していたため、1月から同じ時間・同じ教室・同じ先生のもとで住民税を受講しました。
基本的な部分は所得税法と同じだったため、学習負担は軽く、出題傾向も安定していて覚えるべき理論も10題あれば十分ということで救われました。
ただ、計算は基本的に満点がボーダーラインという試験のため、知識よりもミスなく解くことを重視しました。
本試験は、計算で1つミスしてしまい、12月の結果まで合格しているかわからない状態でした。
無事に12月に合格して、税理士有資格者となりました。
おわりに
1度の受験で受かったのは、簿記論と住民税。
2度の受験で受かったのは、財務諸表論。
3度の受験で受かったのは、所得税法。
消費税法は、最初が4月速習スタートということもありますが、4度かかってしまいました。
受験期間6年半。
受験回数7回。
2006年 消費税法×
2007年 簿記論〇・財務諸表論×・消費税法×
2008年 財務諸表論〇・消費税法×・固定資産税×(財表不合格によって所得税をやめた)
2009年 消費税法〇・所得税法×
2010年 所得税法×
2011年 所得税法〇
2012年 住民税〇(ここで5科目合格)
24歳で受験開始、30歳までに5科目合格できなかったらあきらめると決めて受験していました。
最後の受験が30歳でギリギリでしたが、無事に合格できてほっとしました。