「学校」という言葉をきいた場合、通常は小学校から大学までをイメージするかと思います。
あるいは、専門学校をイメージする人もいるかもしれません。
ここで注意が必要なのは、名称に「学院」や「スクール」など学校を連想させる単語がついていても、行政の許認可を得ていない場合は正式な学校とは認められていません。
今回は、行政の許認可を受けていない教育機関(無認可校)の注意点について書いています。
学校との見分け方
正式に行政の許認可を受けている学校は、専門学校などを含めて各都道府県のWebサイトで一覧として公開されています。
学校法人の場合は、WebサイトのURLに「~ac.jp」と使うことができます。
特に、専門学校の場合は、無認可校と区別するため許認可を受けている旨を掲載していることもあります。
また、大学受験の予備校といえば、学校とは別のイメージが強いかもしれませんが、実は河合塾や駿台予備校のように学校法人の許認可を受けているところもあります。
反対に、宣伝でよく見聞きして専門学校だと思っていた「~学院」をネット検索したところ、URLが「~co.jp」で実は株式会社だった(専門学校ではなかった)と知ってびっくりしたことがありました。
無認可校に通うだけでは立場がない
専門学校の課程を卒業した場合は、卒業すると専門学校卒として学歴になります。
無認可校の場合は、法的には学校と認められないため、卒業しても履歴書上の学歴になりません。
極端に言うと、趣味でスポーツクラブなどに通っているものと同様に扱われます。
わたしは、高校生の頃に進路選択の一環として、あるゲーム会社が運営していたスクールへ見学に行ったことがあります。
その際に、「うちは学校ではなく職業訓練の場所なので学歴になりません。大学はきちんと行ったほうがいいです」と受付の人に言われました。
いろいろ考えて、このスクールに行かずに大学に行くこととなりました。
営業的な面では甘い言葉を言って入学を誘うものだと思いますが、きちんとこう言ってくれた方はすごく良い方だと後から思いました。
また、学校に通学する場合は、学生という社会的立場があります。
しかし、無認可の教育機関に通う場合は、学生という社会的立場を得られず無職という扱いです。
学生でないと通学定期券の学生割引や国民年金の学生納付特例などを受けることができません。
このように、無認可校では、学校卒業という学歴や学生という立ち位置を得ることはできません。
無認可校に通った経験
わたしは、後に税理士試験を受ける際に受験予備校のTACに通うこととなります(TACは「資格の学校」というキャッチコピーですが「株式会社」が運営しています)。
税理士試験も学校法人で全日制の専門学校に通うという選択肢はあります。
学校より塾の方が居心地がよかったことや日商簿記の勉強でTACの教材を使っていたことからTACを選択しました。
学校教育法上の学校ではないため、授業料は消費税がかかりますし、通学定期券の学割も使えません(TACは条件によって教育訓練給付や株主優待券での割引が使えます)。
上記で書いた通り、TACで税理士講座を受けたとしても、正式な学歴にはなりません。
しかし、税理士は合格した科目については「2024年 税理士試験 簿記論 合格」のように履歴書の資格として書けます。
また、履歴書の空白期間の説明としてTACで受験専念して税理士試験の科目合格をしたことは書いて問題ありません。
おわりに
無認可校の注意点について書きました。
わたしのように、大学は既に卒業していて資格合格だけを目的とする場合は、無認可校を選ぶこともあるでしょう。
学校としての許認可は受けていないけれども、国家資格や就職スキルの養成・教育をきちんとしているところもあります。
反対に「専門学校を卒業見込みであること」など、学歴そのものが国家資格の受験に必要であれば、許認可を受けた専門学校に通学する必要があります。
通常の進路選択と同じで、個々の目的によって合うところを選択するのが良いということになります。
ただし、許認可を受けた専門学校だと思って入ったら実は無認可校だった、という誤りのないように注意が必要です。