当事務所は、クラウド会計ソフトfreeeを使って日々の取引の記録を行っています。
また、世間でもクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)を使っている方が多く、業務効率化のためにクラウド会計ソフトを活用するよう呼び掛けている団体もあります。
しかし、クラウド会計ソフトを入れたとしても、便利な機能を使いこなせずに昔ながらの会計ソフトと同様に手入力で大変な思いをしている方を多く見てきました。
今回は、クラウド会計ソフトで使ってほしい便利な機能を2つ紹介します。
銀行口座等の取引の自動化ができる
クラウド会計ソフトを選んで一番よかったと思える機能が取引の自動化です。
そして、せっかくクラウド会計ソフトを選んでいるのに、この機能を使っていない人が多かったです。
「銀行口座の自動化で手入力減りますよ」と言って「知らなかったです」というやりとりを何度もしてきました。
昔ながらの会計ソフトだと、銀行口座で入出金があった場合、通帳の明細を見て、1行ずつ手入力が必要でした。
しかし、クラウド会計ソフトの場合、会計ソフトと銀行口座を連動させることで、銀行の取引が自動的に会計ソフトに登録されます。
たとえば、銀行口座で駐車場代の支払いとして「4/24 てすと不動産 11,000円」の出金があったとします。
従来であれば、通帳を見て「駐車場代の勘定科目は地代家賃で…」考えながら日付からすべての情報を手入力していました。
クラウド会計ソフトを使うことで、既に会計ソフトに「4/24 てすと不動産 11,000円」の出金記録されているため、勘定科目を選ぶだけで処理が終わります。
1度だけであれば、昔ながらの会計ソフトとクラウド会計ソフトであまり変わらないように思えます。
毎月駐車場代の支払いがあるとしたらどうでしょうか。
昔ながらの会計ソフトの場合、毎月通帳を見て手入力しなければなりません。
少し便利に使うとしたら、先月の取引をコピーして今月の取引を登録することはできます。
ただ、クラウド会計ソフトの場合は、「てすと不動産」への支払いは「地代家賃」で登録するようなルール設定をすることができます。
最初のルール設定は、慣れないと少々手間がかかりますが、一度ルール設定ができれば、5月以降のてすと不動産への支払いがあれば、毎月自動的に地代家賃で登録されていきます。
さらに銀行の明細だけでわからないものも、一度ルール化しておけば自動で処理ができるため、毎月明細を見て悩むこともなくなります。
たとえば、「てすと不動産」が収納代行会社「てすとクレジット」を通じて駐車場代の口座振替をしていた場合でも、「てすとクレジット」の口座振替は「てすと不動産への地代家賃支払」で登録するルール化ができます。
また、ルールはいつでも修正できますし、価格変更があった場合や手数料負担・源泉所得税がある場合などの手動での調整処理などもできます。
この機能は、銀行口座だけでなくクレジットカードや各種決済手段(Pay払いやAirレジなど)でも対応しているものが多いため、取引の自動化を活用することで、毎月の手作業を格段に減らすことができます。
領収証のアップロードと管理ができる
昔ながらの会計ソフトの場合、取引の登録は会計ソフトで行い、領収証はノートに貼り付けて保管という状態でした。
過去在籍した職場でも、規模にかかわらず入力と貼り付けの手間は解放されませんでした。
ネット取引の場合は、明細を印刷して貼り付けを行っていました。
しかし、クラウド会計ソフトには、領収証をアップロードできる機能があります。
紙のレシートはスマホやタブレットで撮影してすぐアップロードできますし、ネット取引もダウンロードした領収証をアップロードできます。
また、パソコンに写真を一時保管し、それをまとめてアップロードすることもできます。
そして、アップロードした領収証を取引と関連付けてクラウド会計ソフトで保管できます。
その関連付けもOCR機能で読み取ってある程度推測してくれますし、手動で検索することもできます。
現在は、ネット上の領収証などはデータ保管が必須で印刷禁止、紙の領収証は紙保管でもデータ保管でもOK、という状態です。
じぶんで分けて管理できない場合は、すべてクラウド会計にアップロードして管理することができます。
さらに、freeeの場合は、アップロードした領収証などを上述の銀行口座と同様にルール化して自動で取引を登録することができます。
おわりに
クラウド会計ソフトで使ってほしい2つの便利な機能について書きました。
クラウド会計ソフトを使っている人は増えているものの、この2つの機能を使っていない人が意外と多かったため、この機能を使って手作業のストレスが軽減されればと思います。
ところで、「クラウド会計で自動化すると税理士は何もしない」と言われたことがあります。
税理士は、そのクラウド会計で決めたルールが税務会計上正しく行われているかのチェックや新しい取引のルール化を行っています。
そして、会計ソフトではできない税務相談や税務判断を行う、など作業によらない税理士本来の業務を行っています。