レジで現金を取り扱う場合の注意点

雑感・雑記

キャッシュレス化が浸透した現在でも、お客様からレジで現金でお金を頂く業種は多数あります。
経費の支払いの場合は、自らの意思でキャッシュレスで管理することができますが、レジ商売の場合はお客様からの要望もあるため、現金を完全に扱わないことは難しいかもしれません。

ただ、現金を扱うと、帳簿と実際の金額がずれて、その確認に手間がかかるため、取り扱いを減らします。
特に、レジで現金の受け渡しがある業種は、その管理状況を確認されるため、注意が必要です。

今回は、レジで現金を取り扱う場合の注意点について書いています。

レジ現金の売上管理方法

現金の受け渡しは金額や回数が多いほど不一致の原因追及が困難になるため、厳重に管理することが必要です。

次の5つの手順に沿って行います。

1.開店前

必ずレジ現金が合っているか確認します。
開店前は、小銭や千円札といった、おつり用に用意した現金だけにします。

2.開店中

現金の紛失がないように注意します。
お金の受け渡しはきちんと記録します。

レジシステム(Airレジなど)を使って記録はシステムで行うようにします。
システムを使うことで、正確性と信頼性を確保します。

手書きメモ&電卓だと、自由に金額を改変できるため、信頼性は低いです。
後述の支払いの項目でも書きますが、レジのお金を引き出して支払わないようにします。

3.閉店後(レジ締め)

売り上げの記録とレジ現金が合っているか、毎日必ず確認します。
開店前の金額+その日の売り上げの合計額になっているか確認します。

合っていないときは必ず原因を追及してください。
おつりの受け渡し間違い、記録のもれ、等理由があるはずです。

レジ締めについては、別記事でも書いています。

レジのお金を締めることの重要性
会社での現金管理のうち、毎日のレジ締めが必要な理由と、不正や事故の防止方法についてかいています。

4.明日のおつり用現金を準備し、その日の売り上げを金庫へ移す

レジに残すのは、明日のおつり用の金銭(小銭と千円札)だけです。
このとき、おつり用の準備と売上金額を分けるときに、金庫にある小銭(なければプライベートの小銭)と両替を行うことがあります。

必ず同じ金額で両替を行い、紛失や金額ずれが起きないように行います。
その日の売り上げ分は、同じ金額を封筒や袋に入れて金庫で保管します。

5.金庫にある売り上げを銀行に預け入れる

数日に1回、銀行に預け入れをします。
この際、通帳の記録と預け入れた期間の売り上げが一致していることを確認します。

これで、売り上げた金額をそのまま銀行に預け入れたという記録が残ります。

レジ現金の管理を減らすために

レジ現金は、経理上も防犯上も管理しなければならない事項が多く、大変です。
完全キャッシュレスが理想ですが、現実には現金払いを望むお客様も多いです。
ただ、できる限り現金管理を減らすことが、経理と防犯いずれの視点からも重要になります。
以下すべてを行うのは厳しいので、できるところだけでも対応するのがいいと思います。

1.高額な場合は、振込やカード決済を使う

店舗が高額な現金を抱えるリスクを減らし、口座や決済サイトで客観的な記録が残るメリットがあります。
お客様にとっても現金を持ち歩くリスクが軽減され、支払記録が残る安心感があります。

クレジット決済の場合、下記の国税庁のページにもある通り、領収証に印紙を貼る義務がありません。
印紙の管理や貼り付けの手間も削減できます。

クレジット販売の場合の領収書|国税庁

2.小銭を扱わない価格にする

990円を1,000円にすることで、小銭を扱う必要がないため、管理が楽になります。
預金口座への小銭の預け入れや引き出し、おつり用小銭への両替に手数料がかかる場合が多いため、小銭を扱うことでこれらの手数料負担も減らせます。
値上げが難しい場合、990円を900円にすることで、10円玉を扱う手間を減らせます。

3.レジシステムを導入する

レジシステムを導入することで、正確に客観的に売り上げを記録できます。
レジ機械の導入はコストがかかりますが、AirレジなどのタブレットのPOSレジであれば、コストも低く導入でき、システムによってはfreeeとの連携も可能です。

4.釣銭機を導入する

手動でおつりを受け渡しすることで、受け渡し間違いが発生します。
釣銭機を導入することで、コストがかかりますが、間違いを減らすことができます。
スーパーや一般店舗の場合、③④が一緒になったPOSレジを使うことが多いです。

Airレジの場合、下記ページのように自動釣銭機の連動も可能なようです。

自動つり銭機の利用方法
グローリーの自動つり銭機(RT-300とRAD-300)とAirレジとの、接続方法と利用方法についてご説明します。自動つり銭機とAirレジの接続には、シチズン・システムズの据え置き型レシートプリンター(CT-S257 LT J-WH / C...

5.納金機や警備会社の売り上げサービスを使う

納金機という金庫のような機械に売り上げを入れることで、日々の売り上げデータをネットで管理できるシステムがあります。

警備会社の売り上げ回収サービスを使うことで、銀行に売上金を入金する手間やリスクを軽減できます。
また、おつり用現金の用意や納金機からの払出ができるサービスや機械もあります。
ただし、個人向けのサービスは少なくコストがかかる(ネット上で価格が載っていない)、頻繁に警備会社の人が回収に来るといったデメリットがあります。

現金支払いが必要になってもレジから引き出さない

支払いに現金を使わないことがベストですが、どうしても使う場合は、レジ現金とは別個に用意した現金(「小口現金」といわれることが多いです)を使います。

支払う際にレジの売り上げから直接引き出さないようにしてください。
理由は次の2つです。
・レジからお金を抜くことで、売り上げを低くごまかしていると疑われる危険性が高い
・現金残高が合わなくなる危険が高い

現場で現金払いをした場合に起こる問題点は別記事でも書いています。

現場で支払いに現金を扱うことによる問題点と対策
店舗や支店などの現場において、消耗品の購入などでお金が必要になる場合があります。こういった場合に備えて小口現金というちょっとした支払いのためのお金を用意することは、よくある方法だと思います。しかし、小口現金であっても、現場に現金を用意するこ...

経理上は、この現金払いを現金勘定で行ってしまうと、レジ現金と経費払いが混ざって不一致原因がわかりづらくなります。
また、単純に会社に現金を置く危険や管理の手間を考えて、会社としては現金を持たないようにします。
現金払いは、プライベートからの立て替えで処理します。

個人事業主であれば「事業主借」、ひとり会社であれば「社長借入金」といった形で、自らのプライベートで立て替え払いをしたという流れになります。
なお、法人の場合は、立て替えた借入金の精算が必要です(借入額を預金から引き出すして会計処理をします)。

今は、freee会計では、プライベートからの支払いは上記で処理をして「現金」の勘定科目を使わないようになっています。
freeeでは、実際に現金で支払ったとしても、プライベート資金からの支払いで処理します。

なお、当事務所での処理は、現金払いの経費はエクセルに入力いただき、freeeにエクセルを取り込む処理をします。
最初はこちらで取り込みのサポートをしますが、数か月後にはお客様ご自身で取り込めるようにしていただいています。

おわりに

今回は、レジで現金を取り扱う場合の注意点について書きました。

現金を扱うと、売り上げの確認や会計帳簿と実際の金額の照合などで手間がかかったり、不一致があった場合の原因追及が大変になります。

完全に現金を扱わないことは難しくても、今回の記事のように日常的な管理をきちんと行いつつ、まずはレジから経費払いのお金を引き出さない、経費払いを現金勘定で行わない、管理すべき現金取り扱いを減らしていく、といった形で少しずつ行うことが、経理上も防犯上も望ましいと思います。

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