子ども向けの本は、大人が読んでも面白くわかりやすいものがあります。
また、一般向けの本を読むのが精神的に疲れるという場合にも淡々と読むことができるのも、子ども向けの本のメリットだと思います。
特に、税金の話題は損得や無駄遣いなど感情を煽る本もあるため、子ども向けの本で穏やかに知識を得ることは、良い方法かなと思います。
今回、子ども向けの税金の本で気になったものがあったため紹介したいと思います。
今回紹介する本
今回紹介したいのは、下記の本です。
『キホンがわかる!税金とわたしたちのくらし』(三木義一 監修、フクイサチヨ イラスト、ほるぷ出版、2023年)
正確には、上記タイトルで1つのシリーズとなっており、4つの本があります。
- 税金のしくみ(赤色)
- 日本の税金の未来(オレンジ色)
- 国のお金の使い道(緑色)
- 地方のお金の使い道(青色)
この本を最初に見かけて気になった理由としては、監修者の方が、わたしが税理士登録をしたときの、登録時に受けた研修の講師だったからです。
この先生が、弁護士・大学の名誉教授として様々な本を書かれているのは知っていますが、子ども向けの本に関わっているのが意外でした。
そのため、どんな内容か気になったため、この4冊を読むことにしました。
この本を読んでよかったこと
まず、発行年が2023年のため、情報が新しいことです。
特に、最近数年間のコロナウイルス関連の事情も反映されていることもあり、今の状況を自然に把握することができました。
コロナウイルス関連の時期の前後で物事は大きく変わった部分があるため、今を知れることは大きいと思います。
税金の種類といった税理士が知っている内容のことだけでないことも色々かいてあります。
たとえば、国や地方で具体的にどのような使われ方をしているかといった細かいことが書いてあり、国と地方で使われ方がどう違うかは、普段気にしたことはありませんでした。
また、税金の話に関連して、社会保障や選挙のしくみ、会計検査院の仕事、教育や消防でのお金の使われ方など、社会全体のことがわかるようにかかれています。
特に、病院の3割負担に関する病院・保険制度・給付金のしくみは、自分が病院で勤務して初めて理解できた内容でしたが、それを子どもにわかるように解説されていました。
ちなみに税理士関連でいうと、税金やお金の仕事として税理士の紹介があります。ほかに弁護士と公認会計士も紹介されていました。
煽り(あおり)がない
わたしが情報に触れるうえで最近重視しているのは、煽りがないことです。
漫画やゲームなどの創作物、ライブやきれいな写真などで心が動くのは好きですが、情報や現実社会で心を動かされるのが苦手です。
税金関係の場合は、どうしても、金額の大小で損得がわかりやすく、一般書籍だと読んでいて作者に煽られている感じがするものもあります。
また、子ども向けの税金の使われ方の本であっても、「○○に使われる無駄な税金と同じ金額で△△ができる」といった、作者の望まない税金の使われ方には否定的な本もありました。
その点、この本は税金のしくみや使い道などについて細かく書かれている一方、人により良し悪しが分かれる部分については偏らず淡々と書かれています。
イラストも多めでわかりやすく、不快感がない画風なので見やすいです。
おわりに
小学校や中学校の社会科の資料集を久しぶりに読み返す感覚で読むことができました。
一般向けの税金の本だと、損得や使い道の無駄など感情を煽ることもありますが、淡々と知りたいという人には、この4冊は合っているかと思います。