生命保険は、配偶者やその他の親族(子ども等)を受取人として加入することが通常かと思います。
所得税(年末調整や確定申告)では、支払った生命保険料は、契約内容や金額に応じて生命保険料控除として税金の負担を下げることができます。
今回は、配偶者の生命保険料を支払う場合の生命保険料控除の注意点について書いています。
受取人が配偶者の場合は生命保険料控除が使える
生命保険料控除の対象となる保険は、一般の生命保険料、介護医療の生命保険料、個人年金の生命保険料の3つの区分に分かれています。
その区分ごとに、それぞれ8万円までの支払金額に応じて控除額が4万円まで決められており、各区分の合計で12万円まで控除を受けることができます。
(平成23までは、一般と個人年金の2区分で5万円ずつ合計10万円まで)
この区分については、保険加入時に保険会社から「年末調整や確定申告で控除できます」という説明があり、対象区分と一年間の払い込み金額が書かれた証明書が年末に保険会社から送付されます。
生命保険については、通常は契約した人(契約者)が保険料を支払い、将来保険金を受け取る人を本人や配偶者・子どもとすることが通常かと思います。
なかには、世帯主の配偶者が契約者となっている場合であっても、配偶者自身で払わず、契約者ではない世帯主が保険料を支払っている場合があります。
この点、所得税法では、生命保険料控除の対象となる保険契約は、保険金等の受取人のすべてをその保険料を支払った人・配偶者・その他の親族とするものとされています。
つまり、受取人がすべて家族とする生命保険料を支払った場合、契約者が誰かを問わず、生命保険料控除の対象となります。
また、配偶者控除や扶養控除とちがって、生命保険料控除の配偶者その他の親族は所得要件がありません。
年末調整の際に、職員の配偶者を契約者とする保険の控除証明の提出があった場合、その職員が保険料を支払っていることが明らかであれば、その職員の生命保険料控除の対象になります。
離婚した場合の注意点
受取人を配偶者とする生命保険に加入し、保険料を支払う場合は、生命保険料控除の対象になります。
離婚した後は、所得税においてもその配偶者との関係がなくなってしまいます。
受取人を配偶者とする保険契約だったものが、受取人を親族ではない全くの他人とする保険契約ということになります。
現在の所得税では、配偶者は民法上の規定による婚姻に基づく配偶者としています。
そして、生命保険料控除の対象となるのは、先に説明したように、受取人をじぶん・配偶者・その他の親族の場合です。
そのため、離婚をした元配偶者を受取人とする生命保険料の支払いについては、生命保険料控除の対象にはなりません。
なお、生命保険料の支払いが生命保険料控除の対象になるかどうかは、支払い時の状況で判断されます。
離婚前、つまり配偶者だった期間の支払保険料については生命保険料控除の対象になります。
離婚後、つまり配偶者でなくなった期間の支払保険料については生命保険料控除の対象になりません。
この場合は、受取人を子どもに変更することで、変更後の期間の支払保険料は生命保険料控除の対象になります。
おわりに
配偶者の生命保険料を支払う場合の生命保険料控除の注意点について書きました。
受取人が配偶者の生命保険料を支払う場合、契約者を問わず生命保険料控除の対象になります。
離婚後は、同じ契約であっても生命保険料控除の対象とはなりません。
控除証明が来てから受取人が元配偶者だけど控除対象になるか、というケースがあったため、変更するかどうかは早めに検討するのがいいでしょう。
(控除対象にならないけれども、問題なければ敢えて変更しない選択肢もあります)