ホームページなどでお問い合わせフォームやメールアドレスなどの連絡先を用意しているのは、本来はお客様・これからお客様になる方のためです。
しかし、連絡先を公開していることを悪用して、迷惑メールを送ってくる人も存在します。
今回は、お問い合わせフォームからくる迷惑メールへの対処法について書いています。
迷惑メールと法律
迷惑メールといえば、勧誘や詐欺やチェーンメールのイメージが強いかもしれません。
しかし、これらとは異なる営業メールも迷惑なメールの1つです。
いろいろなサイトの問い合わせフォームを見ると、「営業や勧誘はお断りする」という警告がフォームにあることが多いです。
この点、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」として国も迷惑メールを規制しています。
この法律では、広告・勧誘・営業・宣伝のためのメールを特定電子メールとして規制しています。
そして、あらかじめメールの送信の同意をしていない相手への特定電子メールの送信を禁止しています。
ホームページのお問い合わせフォームやメールアドレスへの特定電子メールの送信は、「メールアドレスをサイトで公表している者に対しては、同意なしに送信できる」という送信禁止の例外という扱いがされています。
これだと、サイトからの特定電子メールの送信を規制できないのか、と思ってしまうかもしれません。
この点、例外の例外として、「メールアドレスとともに特定電子メールの送信をしないよう求める旨の公表があれば同意なく送信できない」とされています。
つまり、「特定電子メールの送信拒否」の旨とともにメールアドレスを公表することで、特定電子メールの送信が違法になる、同意していない営業広告宣伝メールは違法になる、ということです。
お問い合わせフォームについては明示されていませんが、フォームは最終的にホームページの中の人にメールとして届く形になること、フォーム利用不能の場合の措置としてメールアドレスを公開していることから、メールと同じ扱いになるのではないかと思います。
詳細は「一般財団法人 日本データ通信協会」の下記ページを参照ください。
対処法
対処法は、技術面と法律面の2つに分かれます。
技術面での対処法
ワードプレスを使ってホームページを作成・管理している場合は、「コンタクトフォーム」という拡張機能(プラグイン)でお問い合わせフォームを作成している場合が多いでしょう。
「コンタクトフォーム」で禁止用語などを指定して送信を防ぐことができます。
この場合、迷惑メール対策としてGoogleのreCAPCHAを導入することで防ぐことができます。
また、お問い合わせフォームには、入力したメールアドレスへの自動返信機能があります。
本来はお客様が入力した送信内容を確認できる便利な機能ですが、フォームに第三者のアドレスや迷惑メールの内容を入力することで、じぶんのサイトのフォームを踏み台にして大量多くの人に迷惑メールを送信される危険があります。
じぶんの名前とメールアドレスでフォームから送信されるため、受信した人にとってはじぶんが加害者と誤認されてしまいます。
悪用防止のため自動返信機能を使わないことを推奨しているサーバーもあることから、わたしは加害者にならないために自動返信機能を使っていません。
あとは、メールソフト等の振り分け機能を使って、差出人やキーワードなどで迷惑メールを無視することもできます。
法律面での対処法
上記の技術面の話は、お問い合わせフォームをサイトに入れる場合には推奨されている対策のため、やっている人も多いと思います。
おかげさまで、日本語ではない迷惑メールは送られてきていません。
しかし、実際に受け取る迷惑メールは、先に書いた広告・勧誘・営業・宣伝のための特定電子メールだと思います。
技術的な迷惑メール対策を抜けてフォームから届くということは、おそらくサイトのフォームに直接入力(コピペ)していると思われます。
「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」では、「特定電子メールの送信拒否」の旨とともにメールアドレスを公表することで、特定電子メールの送信が違法になる、同意していない営業広告宣伝メールは違法になる、とされています。
サイトでの対応としては、お問い合わせフォームやメールアドレスに「このメールアドレスへの特定電子メールの送信を拒否」の旨を記載します。
わたしは、特定電子メールといわれてもわからないかもしれないと思ったため、下記の文面をお問い合わせフォーム欄の前とプライバシーポリシーのページに記載しました。
なお、問い合わせフォームおよびメールについては、当事務所のお客様のために用意しております。
これらを使った当方への営業・セールス・勧誘など、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」に規定されている特定電子メールの送信を拒否いたします。
拒否しているにもかかわらず送信されてきた営業メールなどの迷惑メールは違法になります。
それでも届いた場合は、「一般財団法人 日本データ通信協会 迷惑メール相談センター」の情報提供窓口(下記)へメール転送で情報提供を行います。
あとは、迷惑メール相談センターから総務省へ報告がされます。
おわりに
ここまで、お問い合わせフォームからの迷惑メールの対処法について書きました。
迷惑メール規制は、もともとガラケー時代の大量送信対策として作られた法律だと思っていました。
しかし、特定電子メールに関する法律では、通常の営業勧誘広告宣伝メールも同意なく送信された場合は違法とされています。
そのため、送信拒否を明記しているにもかかわらず送信された違法メールは、相談センターへ転送するのが適切だと思います。