副業アルバイトの住民税額を自分で納付する方法はある

税金

会社員の副業でアルバイトをしている人の場合、複数勤務の給与所得は確定申告の義務があります。
確定申告で計算した住民税額は、メインの会社から合計額を天引きされるため、原則として自分で納付することができません。
そのため、住民税額が副業をしていないほかの社員より高いなどの理由で、会社にばれる可能性があります。

市町村によっては、会社にばれたくない人のために、給与所得分の住民税額は自分で納付することができていました。
しかし、最近は給与所得分の住民税額を自分で納付ができなくなった市町村が増えています。

副業アルバイトで給与所得のある方は、自分で納付ができないか一度ご自身の市町村に確認してみましょう。

副業アルバイトは、住民税額から会社に基本バレる

会社員が副業としてアルバイトをしている場合、その収入は本業の会社員の収入と同じく、給与所得となります。

給与所得の場合は、本業とアルバイト先など複数の勤務先がある場合は、その勤務先の住民税額の合計額を本業の勤務先の給与から天引きすることになっています。

これは、法律で、次のように決められているためです。

個人の市町村民税のうち当該納税義務者の前年中の給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額は、特別徴収の方法によつて徴収するものとする

地方税法第321条の3第1項
(※特別徴収とは、会社からの給与天引きのこと)

なお、副業がライター業や株式投資などの給与所得ではない場合は、確定申告のときに、申告書に「住民税に関する事項」の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」を「自分で納付」にすることで、会社に副業に関する住民税額の情報を知られないことができます。

「給与、公的年金等以外」と書かれているため、給与所得については、「自分で納付」ができないようになっています。

そのため、確定申告で住民税額について「自分で納付」で申告したとしても、給与の所得は基本的に自分で納付方法を選択できません。

住民税額は本来の勤務先の給与から天引き(特別徴収)されるため、住民税額の情報が知られることで、副業アルバイトが会社にばれる可能性が高いです。

副業アルバイトの住民税額でも会社にバレない方法が実はあった

副業アルバイトの給与所得分の住民税額も、実は自分で納付できる市町村があります。
会社にばれたくないけど、税金を払う意思はある納税者に対する、市町村の配慮です。

自分が税理士として確定申告相談会に参加した時「2か所給与で住民税額をどうしても自分で払いたい人がいたら、市の担当者を案内してください」と申し送りがあった年があります。
ただ、現在、市のホームページにその案内はなく、実際に2か所給与の相談を受けなかったので、手続きはわかりませんでした。

給与所得の住民税額を自分で納付できる方法を明記していた市が2件ありましたので紹介します。
詳細はそれぞれの市のページ(リンク先)を参照ください。
※執筆時点では自分で納付できるようですが、今後できない可能性もあるためご注意ください。

大阪府四条畷市「複数の給与支払者から給与を受給されている人へ」
専用の書類に記載し、すべての給与源泉徴収票などとあわせて提出

東京都町田市「給与所得のある皆様へ」
申告書の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税額の徴収方法」を「自分で納付」で記載し、表面の事務処理欄に「株式会社○○○以外の給与分は、普通徴収を希望」などと書く

このように、副業アルバイトの給与所得分の住民税額も、実は自分で納付できる市町村があります。
現在アルバイトの給与所得がある方は、まずはご自身の住む市町村で住民税額を自分で納付できないかを調べる・問い合わせるなどしてみましょう。

住民税額がバレない方法を突然受け付けてくれなくなるかも

上記のような、給与所得分の住民税額を自分で納付ができなくなった市町村があります。
令和5年度(令和4年中の所得)の住民税額から、自分で納付を認めないと明記している市町村がでてきました。
現時点で検索して見つかったのは下記の市区町村です。

東京都足立区「給与所得が複数ある場合の住民税の徴収方法の変更」

滋賀県大津市「個人市民税・県民税 給与からの特別徴収について(2023.1.16更新)」

千葉県流山市「副業分に対する住民税の徴収方法」

茨城県猿島郡五霞町「給与所得が複数ある場合の住民税の徴収方法の変更」

埼玉県秩父郡長瀞町「給与所得が複数ある場合の住民税の徴収方法の変更」

住民税額の自分で納付ができなくなった理由は、次の2つです。

1.地方税法の規則に則った取り扱いにするため

法律上、給与所得の住民税額は合計額をメインの勤務先から給与天引きすることになっています。(最初に書いた地方税法第321条の3第1項)
反対に、副業アルバイト分の給与所得の住民税額を自分で納付できることは、実は法律に書かれていません。
そのため、地方税法の規則に則った取り扱いでは、給与所得の住民税額を自分で納付することが認められていません。


2.住民税額以外の情報が主たる給与の事業者(特別徴収義務者)に知られることがないため

会社へ知られる情報は、給与から差し引く住民税額だけです。
会社の従業員個人へ配布される税額通知書(住民税額の内訳などが記載されています)は、圧着シート加工や個別封入のため、住民税額以外の情報は会社に知られません。

過去に副業アルバイトの給与所得分の住民税額を自分で納付できていても、市町村の方針変更によって、自分で納付できずに会社天引きにされることがあります。
そのため、天引きされる住民税額が、副業をしていないほかの社員より高いなどの理由で、会社に副業アルバイトがばれる可能性があります。
ご自身の住む市町村で、給与所得分の住民税額について確認する必要があります。

まとめ

会社員の副業アルバイトなどの給与所得分の住民税額についてのまとめです。

  • 基本的にメインの勤務先からまとめて天引きされるため、勤務先にばれる可能性がある。
  • 市町村によっては、特例的に自分で納付することができるため、会社にばれないことは可能。
  • ただし、メインの勤務先からまとめて天引きしか認めない市町村が増えたため、ばれる可能性は高くなっている。

副業アルバイトで給与所得のある方は、自分で納付ができないか一度ご自身の市町村に確認してみましょう。
また、自分で納付ができる給与所得以外の所得での副業にするなど、ほかの方法を考えるのがいいかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました