モノを長年大切に使っている、といえば、多くの人はいいイメージを持つかと思います。
モノの供給が少なかった時代には大切に長く使い続けることが必要でしたし、「モノを大切にする人は自分の心や他人も大切にできる人」という考え方は今でもあるようです。
しかし、モノを長年大切に使う場合には、そのモノにこだわりすぎると、そのモノがなくなったときに困ることになります。
特に、税理士の場合は、税理士試験がボールペンが必要な試験で、しかも1時間に数千字を書かないといけないため、自分に合ったボールペンを探す必要があります。
わたしは、税理士試験の1年目から現在まで使っているボールペンがあるのですが、その商品が最近製造終了になってしまいました。
今回は、この商品の終了によって、1つのボールペンを長年大切に使うことで考えた2つのリスクについて書いています。
自分が使い続けたいと思ってもモノがなくなる
わたしは、税理士試験の1年目から現在までの20年近く、三菱鉛筆のシグノRTというゲルインクペンのノック式を愛用し、今でも使っています。
ゲルインクのためインクがしっかり出る、ノック式のためキャップを気にしなくていい、グリップが持ちやすいといった良さがあります。
半透明なデザインがわたしの好みに合っており、色とサイズによっては、グリップ部分も半透明のためインク残量が見えて実用性も高かったです。(ペンを使おうと思ったらインク切れだった、というストレスが軽減されます)
大量の文字を手早く書く必要のある理論では0.5ミリ、狭いスペースにくっきり数字を書く必要のある計算では0.38ミリを使い分けていました。
本試験や予備校の試験だけでなく、日ごろの問題集を解くときや、理論を手で書いて覚えるときにも使っていました。
そのため、どれだけのインクを使ったのか思い出せないくらいです。
同じ商品でも使い続けているペンの方がグリップがしっくりくるため、普段は替え芯だけ買い替えていました。
本体の買い替えはグリップのゴム部分が緩んで使えなくなったときだけにしています。
受験生時代は、インクの消費量が多いため替え芯は10本セットの箱買いで在庫を持っていて、受験が終わってからは、その在庫を消費しつつ時々買い足す、という感じでした。
しかし、最近、どこの文房具売り場でも本体と替え芯を見かけなくなりました。
気になって調べたところ、生産終了となっていました。
生産終了になると思わず、ずっとあるだろうと思っていたため、慌ててネット通販で本体を数本購入しました。
モノとの別れは、自分の手放したいタイミングで手放すのが理想だと思っています。
しかし、供給がなくなった以上は、自分が一生使い続けたいと思っても、使えなくなったタイミングで否応にも手放さないといけなくなります。
当分先のことになると思いますが、そのうち本体・替え芯の入手もできなくなって別れの時期がくることを意識させられました。
ちなみに、シグノRTに似たグリップ感のある三菱鉛筆のシャープペン「アクアタッチ」も愛用していましたが、こちらも生産終了しています。
変化に対応しづらくなる
20年近く使ってきたこともあり、もはやわたしにとってシグノ無くてはならないものになっています。
他のペンも触ってみていますが、今のところあまりしっくりくるものがなく、他を使う予定は今のところありません。
あまりに合いすぎた反動で他のペンが合わない感じが強すぎました。
これは、ペンに限らず、長年続いた習慣や道具を変えることが難しいということに通じるかなと思います。
1つの物事への執着のようになってしまって、なかなか別のものに変えづらくなる・代替品の欠点しか見えなくなるというリスクができてしまうかなと思います。
今は税理士試験も終わり、ペンで字を書く頻度も減ったのが救いです。
税理士受験生の時代に生産終了されていたら、自分に合うペンを探すことに相当苦労したかも…と思います。
ちなみに、iPadでAppleペンを使うことは全然違和感は持っていません。
多分タブレットに手書きするための道具ということで、シグノの代替品ではなく別次元の新しい道具、と解釈しているからかもしれません。
おわりに
1つのボールペンを長年大切に使うことで考えた2つのリスクは、次の2つでした。
- 自分が使い続けたいと思ってもモノがなくなる
- 変化に対応しづらくなる
これは、すべての物事に当てはまるかなと思います。
特に、今はネットを使った各種サービスが、提供元の会社の事情で終了や仕様変更ということが簡単にできてしまいます。
仕事や生活に欠かせないサービスになっていますが、この2つのリスクは意識しておいた方がいいかもしれません。