キャッシュレス決済の推進により、現金以外の決済手段が増えてきています。
一方で、決済手段は手数料がかかることから、今でも現金のみ決済というお店や病院もあります。
今回は、現金決済の場合のリスクとコストについて書いています。
現金決済のリスク
現金決済の場合のリスクは、レジでの現金不一致の事故が起こることです。
お客さんとの現金受け渡しの場合、お釣りの渡し間違いやお客さんの受け取り漏れが起こることがあります。
これは、自動販売機のように機械が計算して正しい金額のお釣りを払い出すPOSレジであっても、100円硬貨一枚がトレイに残っていたということがあります。
特に、レジ対応が大変な場合に正確さよりも速度を優先した結果起こりやすい事故です。
たいていはその場で気づかず、営業終了後のレジ締め(売り上げとお金の残高確認作業)になって初めて売り上げとお金の残高が合わずに発覚するケースもあります。
また、売り上げた現金は、お店の金庫に一時保管し、銀行へ預け入れるのが通常です。
金庫での保管中や銀行へ行く途中にお金が紛失するという事故は起こる可能性があります。
さらに、現金決済のみの場合は、未収金のリスクもあります。
特に、病院の場合は、レジ支払うまで治療費がわからず手持ち現金以上の治療費がかかること、さらに入院だと高額になることなどから、飲食店に比べて未収になるケースが増えてしまいます。
レジにキャッシュレス決済手段があれば、特に高額な入院費は未収になるリスクをある程度防ぐことができます。
同時に、患者さんのご家族にとっても、十万円単位の現金を持ち歩くリスクがなくなります。
現金管理のコスト
キャッシュレス決済の場合は、「手数料は売り上げの3%」など、利用料が売り上げに応じてかかります。
現金の場合は、決済自体に手数料はかかりません。
しかし、現金管理にも様々なコストがかかります。
レジ締めの場合、その日の売り上げとレジの中の現金が一致しているかを確認する作業を行います。
一致確認とお釣りの準備が早くても20分、不一致や確認に手間取ると数時間ということもあります。
また、お釣りの準備のための両替や売り上げ現金の預け入れに、銀行に行く手間もあります。
両替や小銭の預け入れにも手数料がかかります。
これらは業務の一環として行われているため、職員に給与が発生しています。
終業後のレジ締めであれば、残業代も発生します。
単純に給与金額をこの作業時間で割ると、ざっくりとした作業費用が計算できます。
売り上げ現金の預け入れやお釣りの準備のための機械を店内に置くサービスもありますが、そのサービスにお金がかかります。
さらに、現金の場合、紙幣や硬貨が新しくなると、レジシステムもそれに合わせて改修する必要があり、その改修費用にお金がかかります。
お店や病院の規模や状況によりさまざまですが、上記のような現金管理に関して見えない部分でかかっているコストを計算してみることは大切です。
計算してみて、実は現金管理だけで目に見えないコストがかかっていたことがわかる場合があります。
おわりに
今回は、現金決済の場合のリスクとコストについて書きました。
お店や病院の状況は様々なため、世間の流れに合わせて絶対にキャッシュレス決済を入れないといけない、というわけではありません。
病院の場合は、社保や国保からの入金が大半でレジ決済の影響は大きくない、レジでのお金は手数料がかかってもキャッシュレス決済をすることで未収のリスクを減らす、という選択ができます。
個人経営の飲食店の場合は、全部がレジ現金で、材料費や光熱費などと比べてキャッシュレス手数料が負担になるから、敢えて現金決済のみという選択もあります。
ただ、このような選択を検討するためには、現金決済や管理、その他のコストを見える形で整理してみる必要があると思います。
その整理した内容とキャッシュレス決済手数料を比較して、導入するしないを考えるのが良いでしょう。