空き家の固定資産税が6倍になる?

税金

最近、空き家の固定資産税が6倍になるという話を目にすることが増えました。

2023年6月に空き家に関する法律(空家等対策の推進に関する特別措置法)が改正され、半年後の2023年12月に施行予定のためです。

早ければ、2024年以降の固定資産税に影響があります。

今回は、空き家に関する法律の改正と空き家の土地の固定資産税について書いています。

空き家の「固定資産税が6倍になる」の意味

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者にかかる税金です。
その税金は、固定資産のある市町村が計算し、決められた額を支払います。

家の固定資産税は、住宅部分と土地部分に分かれて計算します。
基本的には、どちらも「市町村の評価額×税率1.4%」が固定資産税です。

実は、住宅の土地の固定資産税については、法律によって税負担が軽減されています。

  • 200㎡以下の住宅の土地(小規模住宅用地)
    市町村の評価額×1/6×税率1.4%
  • 200㎡を超える部分の住宅の土地(一般住宅用地)
    市町村の評価額×1/3×税率1.4%

この「1/6」「1/3」が法律で決められた軽減になります。
人が住むから生活の負担にならないように税金を軽減する趣旨でした。

放置された空き家の増加が問題になった結果、そもそも人が住んでいない家はその軽減が不要ということで、軽減を解除するという方向になりました。

タイトルの「空き家の固定資産税が6倍」という表現は、実は正確な言い方ではありません。
「これまで軽減されていた土地部分の6分の1の軽減がなくなる」というのが正確な言い方になります。

とはいえ、長年の1/6の軽減を当たり前に感じるため、1/6の軽減がなくなると6倍の税負担になるのは事実です。

軽減が解除される空き家とは

空き家になると、すぐに固定資産税の軽減がなくなるわけではありません。

定期的に空き家の清掃、庭の手入れなど、住宅として機能するように適切に管理ができていれば、軽減を受けた状態が続きます。

しかし、空き家の管理ができず危険な場合や危険の恐れのある場合に、市町村長からの勧告により、軽減が解除される、という流れになります。

軽減が解除されるのは、次の2つの空き家に該当する場合です。

「特定空家等」

2015年から、「特定空家等」として、市町村長から勧告を受けた場合に、その空き家の土地の固定資産税の軽減を解除することとしています。
「特定空家等」となる空き家は、次の4つのいずれかの状態に当てはまるものをいいます。

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

「管理不全空家等」

今回の2023年6月の改正では、固定資産税の軽減が解除される対象が広がりました。
「管理不全空家等」として、市町村長から勧告を受けた場合にも、その空き家の土地の固定資産税の軽減を解除することとしています。

「管理不全空家等」とは、適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば「特定空家等」に該当することとなるおそれのある空家等をいいます。

まとめ

  • 空き家の土地の固定資産税は1/6または1/3の軽減を受けている
  • 市町村長から勧告を受けた「特定空家等」「管理不全空家等」は軽減がなくなる

基本的には、定期的に保守管理ができている空き家であれば、軽減は続くようです。
ただ、特に遠方にある空き家、相続が関連する空き家などは、保守管理も大変だと思います。
遠い先の話ではなく、実家や今の住宅が空き家になったらどうするか、あらかじめ考えておいたほうがよさそうです。

参考リンク
国土交通省:空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について

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