店舗や支店などの現場において、消耗品の購入などでお金が必要になる場合があります。
こういった場合に備えて小口現金というちょっとした支払いのためのお金を用意することは、よくある方法だと思います。
しかし、小口現金であっても、現場に現金を用意することには問題があります。
今回は、現場で支払いに現金を扱うことによる問題点と対策について書いています。
問題点:不正や事故が起きやすい
現場で現金を扱うことの問題点は、不正や事故が起きやすいことです。
もちろん、現場でもしっかりと倫理観を持って、管理している人がほとんどだと思います。
しかし、コスト意識がなく社内ルールに詳しくない人や意図的にルールを無視する人がいると、内部管理は緩くなってしまいます。
本社や管理部門(本部総務・経理など)の場合は、自分たちが管理する側なので事故を起こすわけにいかない、社長や役職者の目の届く場所である、といった理由から、現金に関する取扱いは自然と厳しくなります。
それに比べて、店舗や支店といった現場、特に本社からチェックが入りづらいところの場合は、内部管理が緩くなって不正や事故が起こる可能性が高くなります。
たとえば、美容系のお店でお客様用のタオルが足りなくなったから、あわててコインランドリーで洗濯乾燥機を利用した…と言われても、コイン投入で領収証が出ないため、確認のしようがありません。
また、備品でドライヤーを購入した…と領収証や経費精算書類が適正に存在して、会計上問題がないようにみえても、調べてみると肝心のドライヤーが見当たらない(実は私物購入していた)ということも起こります。
さらに、小口現金を用意していない場合、「レジのお金を勝手に持ち出して支払う」という危険が高くなります。
売上についてきちんとしたチェック体制や管理システムがない場合、正しい売上高もわからなくなってしまいます。
(本部や経理も日々の売上の内容は把握・チェックしきれず、基本は現場から上がった数値を経理するだけのことが多いかと思います)
このように、現場で現金を扱うことの問題点は、不正や事故が起きやすくなることです。
対策:現場は支払いで現金を扱わない
現金を扱うことで起こる不正や事故の場合は、現金を扱わないことが一番の対策になります。
売上については、店舗でレジを完全キャッシュレスにすることでそもそも現金が入ってきません。
しかし、手数料負担やお客ニーズなどの事情でそれができない場合があります。
その場合は、売上の管理システムの導入や毎日の現金残高の確認、レジ現金からの現金引き出しの禁止など不正が起きない体制を作り、本社と現場でチェックを徹底する、といったことで不正や事故を減らすことは可能です。
一方、小口現金が必要な理由である「店舗や支店での現金支払い」については、お客様のニーズは関係なく会社だけで完結できるルールのため、なくすことができます。
管理がきちんとできないのに、なぜか現金を持ちたがる人は実際にいます。
たとえば、持ちたがる理由と対処法は次のような感じです。
- 職員の経費精算に必要
→経費は本部から給与と一緒に振り込むなどで現場を介さないで対応できる - お客様の待合室に雑誌が必要
→本部で購入と支払い手続きを行い、現場には雑誌のみ届ける - 消耗品の購入に必要
→アマゾンやアスクルなどを使えば、現場からの申請を本社が承認して発注し、消耗品は現場に届いて、支払いは本社が行うシステムがある - お客様のお子さんがジュース欲しがったら、買ってきてあげるのがおもてなし
→アスクルやアマゾンは、ジュースも買える - 本社の承認を待ってたら遅くて仕事にならない
→現場決済用にクレジットカードを1枚持たせる。購入後に経費精算書類や領収証などを本社でチェックする
支払いは本部が行う、現場専用のクレジットカードで決済者や決済金額の上限など(たとえば、カード使うのは店長だけ・月5万円まで)ルールを決めて運用することが重要です。
そして、証拠資料(領収証や実際の購入物)もきちんと確認することが必要です。
ドライヤーなどの小型家電や消耗品は、自宅使用や転売の不正も考えられるため、購入時だけでなく定期的な物品確認や廃棄時も本社がチェックできるようにする、といったしくみにすることも有用です。
このように、現場は支払いで現金を扱わないしくみを作ることで、不正や事故を減らせます。
なお、請求書の届け先も直接本部にすることで、支払い(銀行振込)も早く行えます。
さらに、銀行口座やクレジットカードでの支払いの場合は、クラウド会計ソフトfreeeなどの連携機能が使えるため、経理業務も早く正確になるメリットもあります。
おわりに
現場で支払いに現金を扱うことによる問題点と対策について書きました。
経費の支払いをキャッシュレスにすることは、お客様のニーズ関係なく会社だけで完結できるうえ、不正や事故の防止と管理の効率化もできます。
キャッシュレスといえばレジ売上の話に目が行きがちですが、経費支払いこそキャッシュレスを優先して考えるのが良いかと思います。