確定申告の時期である2月には、各地の税務署や税理士会などで無料の税務相談や申告書の作成のサポートを行っています。
これは、小規模の個人事業者や、年金で生活している人、医療費控除や住宅ローン控除などの還付を受けたいサラリーマンなどが対象です。
税理士と普段かかわりのない小規模の方の確定申告を、税理士がサポートする役割があります。
基本的には個人がスマホで申告をする、というのが近年の流れですが、PCやスマホを扱えない方などのために、税理士が資料を確認してその場で申告を行う場合もあります。
今回は、確定申告の無料税務相談に行く際の注意点について書いています。
資料を準備する
確定申告のための資料を忘れずに持っていきます。
必要な資料の例は次のものです。
<収入関係>
・給料・退職金・公的年金の源泉徴収票
・株式の配当や報酬などの支払調書
・投資信託の年間取引報告書
・生命保険会社からの年金や一時金に関する資料
・その他、収入に関する資料
<控除関係>
・住宅ローンに関するもの(登記簿やローンの残高証明など)
・社会保険や生命保険、イデコ(小規模共済)、地震保険の控除証明(一年間の支払額を示すもの)
・自分で納付した国民健康保険や国民年金の納付書(領収印のあるもの)
・寄付金の控除証明(ふるさと納税の控除証明も必要)
<その他>
・前回の申告書(あると、前回と今回で比較できるため助かります)
・自身や扶養家族の情報(生年月日、障害者・寡婦か、収入の有無など)
・還付金を受け取る口座の情報(通帳やキャッシュカード)
慣れていないと、どの資料が必要か、わからないと思います。
とりあえず迷ったら持っていく、お金の動きに関する資料は持っていく、という位でも、問題ありません。
税理士が、その場で必要な資料を判断します。
反対に、足りない資料があった場合は、正しい申告書が作成できないため、資料をそろえて再度行くか、自分で申告ということになってしまいます。
過去に、「公的年金の源泉徴収票を忘れたけど、去年の申告書があって、収入が年金だけだから申告してほしい」と言われたことがあります。
収入金額が同じでも、年金収入から控除される社会保険料の金額が毎年変わるため、作成できずお断り…ということがありました。
ちなみにe-taxのシステムでは、源泉徴収税額や社会保険料が違うとシステムでエラーとなり作成できないようになっています。
また、ご自身・扶養家族に関する情報は予めあると助かります。
障害者控除や寡婦・ひとり親控除は、受けることで税金が少しでも安くなるメリットがあります。
そのため、個人の機微に触れる内容であることから、聞きづらいのですけど、必ず確認はしています。
医療費明細や収支計算は集計しておく
税務相談会場では、医療費の明細書や不動産の収支計算書が作成されていることを前提に税理士が申告を行います。
そのため、あらかじめ医療費の明細書や不動産の収支計算書を作成しておく必要があります。
数年前までは、医療費の領収証の提出が必要でしたが、今は集計された医療費の明細書の提出が必要、ということに変わりました。
税務相談会場で対象となる方の収支計算書は、少額の不動産(貸家1軒、コインパーキング1区画など)がある方が対象です。
いずれも集計された金額をもとに、税理士が申告を行います。
用紙は税務署や国税庁のサイトにありますので、あらかじめ作成しておきましょう。
相談会場と対応可能な内容を確認する
確定申告の相談会場は、税務署や税理士会など、基本的に市区町村で管轄が決まっています。
そのため、近くの相談会場に行っても、担当の市区町村が違うため対応できない、ということがあります。
住所ごとに、この区に住んでいる人はここの会場で、と決まっているため、あらかじめ住んでいるところの相談会場を確認しておきましょう。
なお、ここまでは、わたしの所属している税理士会の支部が主催している無料税務相談でのケースです。
相談会場や日時によっては、相談のみで申告書の作成は行わない、という場合もあります。
国税庁主催のものだと、基本的に自身のスマホで申告をするということになっています。
単に「確定申告の無料税務相談」というタイトルだけでなく、申告書の作成を自分で行うのか、税理士にやってもらえるのか、など内容は確認しておきましょう。
特に、支部の無料税務相談の場合は、そもそもスマホやPCが使えない年配の方の対応が多かったです。
そのような方がスマホで申告をすることが前提の場所へ行っても困ると思います。
ここまで書いた内容は、小規模の納税者の方やサラリーマンの還付申告等が対象でした。
反対に土地建物の売却や高額な収入、事業がある、などの方は無料税務相談対象とされていません。
対象となる方や相談できる内容・申告書の提出の有無など、自分に合うものを事前に確認しましょう。
せっかく朝早くから整理券をもらって並んでいたのに対象外だった…ということにならないよう、注意が必要です。
おわりに
確定申告の無料税務相談に行く際の注意点のまとめです。
- 資料を準備する
- 医療費明細や収支計算は集計しておく
- 相談会場と対応可能な内容を確認する
確定申告の無料税務相談を利用してみたい方の参考になればと思います。