都心の駅前は路上駐車禁止の道路が多い中、例外として料金を支払えば路上駐車ができる場所があります。
これは、都心の路上でも警察が標識や案内板に掲示している時間に限り、パーキングメーターと呼ばれる機械にお金を投入して駐車するしくみです。
場所によって、メーターに駐車可能な残り時間が表示される方式と、駐車可能時刻などをチケットで出す方式があります。
どちらも一見すると、コインパーキングとかわらないように思えます。
しかし、通常のコインパーキングとちがって、パーキングメーターは消費税がありません(非課税です)。
今回は、パーキングメーター(パーキングチケット)の消費税の非課税になる理由について書いています。
パーキングメーターの利用料金は、駐車料金ではなく行政手数料
都心の駅前での駐車可能な場所として真っ先に思いつくのが、コインパーキングなどの駐車場です。
これは、「車を駐車させてもらう」というサービスを受け、そのサービスに対する料金を支払います。
そのため、駐車場の利用料金は、サービスを消費しているから、消費税がかかることになります。
これに対して、パーキングメーターは、機械で精算を行うためコインパーキングと同様に消費税がかかると思うかもしれません。
しかし、パーキングメーターの利用料金は、実は駐車料金ではありません。
パーキングメーターの利用は、もともと駐車禁止となっている道路で、短時間での駐車できるようにするため、国のルールである道路交通法で「特別に時間制限を作って駐車できる」と一時的に道路の使用許可をもらった状態です。
その使用許可のお金をパーキングメーターやパーキングチケットの機械で支払っているという性格になります。
そのため、パーキングメーターの利用料金は、駐車のサービスへの利用である駐車料金と性格が異なります。
警察への駐車許可の手数料の支払いという性格になります。
警察など行政への手数料は消費税はかからない(非課税)
手数料の話の前に、かんたんに消費税の課税の種類について説明します。
消費税の税金がかかる、かからない、の区分は、「不課税」「非課税」「免税」「課税」の4つがあります。
消費税を考えるときには、この4つを順にあてはまるかどうかを考えます。
(本当は細かい要件がありますけど、ざっくりとだけ説明しています)
- 最初に、対価があるか(無料じゃないか)を見ます。
対価がない、無料の場合は、「不課税」として消費税の対象外です。
たとえば、駐車違反の罰金はサービスの対価ではないため不課税です。
対価のあるものは消費税の対象となります。 - 次に、消費税の対象となるものが、国の指定した非課税リストにあれば非課税になります。
リストにないものは、課税になります。 - 最後に、国の指定した免税リストにあれば、免税(課税だけど0%)になります。
リストにないものは、通常の課税(10%)になります。
上記に当てはめると、パーキングメーターの利用料金は、「駐車の許可をもらったことへの支払い」という対価性があるため、不課税にはなりません。
次に、国の指定した非課税のリストにあてはまるか、を考えます。
非課税のリストは「消費税法の別表第二」にあり、ここに「行政サービスに対する事務料金が非課税」と書かれています。
そのため、パーキングメーターやパーキングチケットの料金は、駐車許可の行政サービスへの支払いという性格を持つことから、消費税が非課税となります。
ちなみに、通常のコインパーキングの料金は、対価があり、非課税のリストと免税のリストに指定されていないため、10%の消費税がかかります。
経理するときのの注意
パーキングメーターやパーキングチケットの料金は非課税、コインパーキングなどの通常の駐車料金は課税、となります。
経理するうえで注意したいのが、駐車に関する資料は、発券されたチケットを見て経理をすることになります。
そのため、駐車料金のチケットに混ざって、パーキングチケットがあるかもしれません。
特に都心の駅前での駐車が多い場合は、誤ってパーキングチケットを課税にしない(非課税にする)よう、注意が必要です。
警視庁では、インボイス制度への対応として、「消費税は非課税」と明記しています(下記)。
警視庁:インボイス制度への対応
おわりに
パーキングメーターやパーキングチケットの利用料金についてのまとめです。
- パーキングメーターなどの料金は、警察への許可手数料。
- 警察など役所への手数料は、消費税は非課税。
- パーキングメーターなどの料金は、消費税は非課税。
- 経理するときは、駐車料金とは扱いが異なるので注意。