税理士試験は、税法のきまりを覚えて書かせる問題と、国に納める税金の額を計算過程を書いて答える問題の2つに分かれます。
一方、税理士試験の形式は、税法や計算過程の丸暗記は苦痛なのに役に立たない、という批判もあります。
しかし、わたしは、この問題形式のおかげで救われたと思っています。
今回は、税理士試験で自由だと感じたことについて書いています。
選択式の試験が苦手
わたしが過去に受けた公務員試験や、就職活動のSPIなどは、選択肢のなかから答えを選ぶ形式でした。
また、ほかの国家試験や資格試験の問題を見たことがありますが、大半は選択式の問題形式でした。
これらは、わからなくても選択肢の記号を書いておけば当たる可能性はゼロではないこと、完璧に覚えていなくても何となく正解できてしまうことから、合う人の方が多いかもしれません。
大学での定期試験では、選択式の試験と論文式の試験だと、後者の方が緊張の度合いは高かったろいう人も多いのではないでしょうか。
しかし、選択式の試験がわたしは合いませんでした。
なぜなら、選択式の問題は、覚えた知識のアウトプットに向いていないと感じたからです。
選択式の場合、正しい知識を覚えているのに、誤った選択肢の文章で混乱したり、誤った選択肢の文章をそのまま覚えてしまうこともありました。
また、正解させないように妙な言い回しでミスを誘うようになっているなど、正しい知識確認には向きませんでした。
そのため、選択式の試験のための勉強は、正しい知識だけのやりとりをしたいのに、それができないストレスの方がわたしには強かったです。
自分が正しいと思ったことをそのまま書ける
この点、税理士試験は、覚えた法律や計算過程を活用して、与えられたスペースで自由に書くことができます。
覚えた直後に計算問題を解くときもじぶんが覚えた計算過程をそのまま書けるため、知識の定着の確認がやりやすいです。
選択式のように誤った選択肢を覚えて混乱するということもありません。
確かに理論暗記は苦痛ですけど、ひたすら正しい内容を覚えて書くだけのため、誤った選択肢というノイズがないのは精神的には助かりました。
また、理論問題も計算問題も受験予備校によって若干言い回しや計算パターンが違っています。
それでも、それぞれの予備校から合格者が多数出ていることから、自由度は思ったよりもあるのかなという気がします。
あとは、細かい部分が違っていても、理論なら書くべき規定のタイトルや大意が合っている、計算なら数字は違うけど計算式は合っている、ということで部分点はもらえる可能性もある気がします。
誤ったことは書いてもダメですけど、正しいことをなにか絞り出すだけでも合格できる可能性は上がる、というのは、選択式にはない記述式のいいところかなと思います。
わたしは、中学入試の算数でも文章題で計算式を書かされたこと、大学入試の数学でも計算過程をきちんと書かされたことから、わたしが計算過程を書く試験に親しみがある、というのも大きいのかもしれません。
選択式は大学入試のセンター試験ぐらいで、どの科目もじぶんで答えをきちんと書く試験の方が多かったです。
また、計算過程のいらない日商簿記の試験や税理士試験の簿記論・財務諸表論でも、基本的にはじぶんが思った答えを書く、という試験のため、選択肢に縛られずに思うように書けるという自由さがわたしには合っていたのかなと思います。
そのため、ノイズがなくシンプルに「与えられた内容を覚えて答える」という税理士試験の自由さはわたしには合っていたと思います。
おわりに
ここまで、税理士試験が自由に答えを書けることの良さについて書きました。
批判されがちな試験形式ではありますが、選択式にはない記述式のメリットも知ってもらえたらと思います。