固定資産の減価償却について

税金

固定資産を買った場合、原則として資産にいったん計上し、減価償却として少しずつ資産から経費にする処理が必要になります。
少額なものは買ったときにそのまま経費で落とせる特例もあるため、原則的な処理がなじみがない個人事業主やフリーランスの方もいるかもしれません。

ここでは、減価償却の基本的な考え方と計算方法、個人と法人のちがいをとりあげています。
基本的に会計ソフトに登録すれば、自動で計算もやってくれるのですが、何となくでも理解してもらえたらと思います。

減価償却とは

固定資産を購入した場合、現金預金と同じように資産という扱いになります。
しかし、現金預金とは違って、固定資産は使うたびに消耗していくため、だんだんと資産価値が下がっていきます。
また、固定資産は買ったときにフル稼働させてもすぐに壊れるものではなく、何年も使用することを前提としています。

そのため、資産となったときから、消耗によって下がっていく価値を期間にわけて少しずつ経費に変えていく処理が必要になります。
この処理のことを「減価償却」といいます。

また、価値が消耗によって下がっていく期間や壊れるまでの期間はその種類によってさまざまです。
同じ機械でもいつ壊れるかは実際わかりませんが、その期間をみんなが自由に決めると税金計算などで不公平で問題になってしまいます。

そのため、国のルールとして、資産や構造・用途などで区分してその期間が決められています。
この期間のことを「耐用年数」または「法定耐用年数」といいます。
たいていは会計ソフトの資産登録画面で、用途などを選べば自動的に耐用年数を決めてもらえます。

たとえば、100万円の機械を購入したとします。
国が決めた耐用年数は、10年でした。
この場合、購入時に資産として100万円の機械として記録します。
そして、毎年の決算のときに、100万円÷10年=10万円ずつ資産の価値を減らして経費(「減価償却費」)として処理します。

主な方法は、定額法と定率法

主な減価償却の方法は、定額法と定率法があります。

たとえば、マラソンで、10キロを走らないといけないとします。
ペース配分をしっかり考えて走れる人だったら、10キロを同じペースで走れるでしょう。
反対に、最初からペース考えずに走る人だったら、最初は速く走って少しずつ疲れてペースが落ちていくでしょう。

イメージとしては、このペースのことを減価償却費と思ってください。
そして、ペース配分の方法が定額法、定率法にあたります。

定額法の場合は、同じペースで走っていく人のようなイメージです。
そのため、ずっと同じペースで経費にしていく処理をします。

100万円で耐用年数10年の資産を購入した場合は、毎年100万円÷10年=10万円ずつ減価償却費として資産の価値を減らしていきます。

定率法の場合は、最初は速く走って少しずつ疲れてペースが落ちていく人のようなイメージです。
そのため、最初に多く経費にして、少しずつ減らした経費にする処理をします。

100万円で耐用年数10年の資産を購入した場合は、1年目に20万円と多めに、2年目に16万円…と年々少しずつ減価償却費を減らしていきます。

マラソンでいうと、最終的には10キロ完走するというゴールは同じです。
ただ、ペース配分が違うというのが定額法と定率法の違いです。

購入した1年目に多めに経費にできるのが定率法の利点です。
ただ、1年目が赤字だったり、2年目以降の利益が多い場合は、定額法の方がいいということもあります。

個人と法人でのちがい

個人と法人では減価償却の経費化の考え方が少しちがってきます。

減価償却費:個人は強制・法人は任意

個人の場合は、資産の減価償却費を必ず経費にしなければいけません(強制)。

法人の場合は、資産の減価償却費として計算した金額を限度として経費にすることができます(任意)。
通常は、償却限度額まで経費にした方が税金を安くできるため、個人と同様に減価償却費を毎年計上しているかと思います。

減価償却方法

1.建物・建物付属設備・構築物

定額法(法人と個人共通で変更不可)

2.車両や機械装置・備品など上記以外のもの

法人は定率法
個人は定額法

法人で定額法にしたい、個人で定率法にしたい場合などは税務署への届出が必要になります。

まとめ

  • 減価償却とは、資産を国の決めた期間ごとに経費にするルール
  • 主な方法は、定額法と定率法
  • 個人と法人では、減価償却費の計上ルールや償却方法がちがう

青色申告なら30万円未満は経費で一括などの特例があるため、ふだんは意識しないかもしれません。
30万円を超える資産(車など)を買った場合などに、使うことがあるため、知っておいていいかなと思います。

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