固定資産を分解して管理する

税金

「固定資産」とひとことで言っても、その固定資産は様々な材料・パーツで構成されています。
そのため、まとめて1つの固定資産とみるよりも、パーツごとに分けて管理をしたほうがいい場合があります。

ここでは、固定資産を分けることのメリットと、どこまで細かく分けるかの国のルールについて説明しています。

資産を分解するほうが税金も管理もメリット

建物の中には設備などが含まれているため、まとめて「建物」とだけするよりも、建物の中の給排水設備、エアコンなどを分けて管理します。

なぜなら、買った資産を少しずつ経費に落としていく減価償却の期間(法定耐用年数)が建物が一番長いためです。
同じ値段で買った場合、減価償却の期間が短いほど、毎年の経費に落とせる金額(減価償却費)は高くなります。

たとえば、建物の中に150万円の給排水設備があった場合のことを考えてみます。
事務所用の鉄筋コンクリート建物の耐用年数は50年です。
その建物の中に含まれる給排水設備の耐用年数は15年です。

・給排水設備を建物に含まれていた場合
耐用年数は長い期間である建物の年数(50年)で計算されてしまいます。
1年あたりの減価償却費は、150万円÷50年=3万円です。
(説明上、給排水設備だけの金額を出しましたが、実際には建物の減価償却費の中に含まれます)

・給排水設備を建物と分けた場合
耐用年数は給排水設備の年数(15年)で計算します。
1年あたりの減価償却費は、150万円÷15年=10万円です。

このように、分けて管理するだけで、同じ建物の給排水設備の減価償却費が7万円増えます。
結果的に、分けて管理することで節税につながります。

新築建物の場合は、図面や設計・見積もりで大まかな設備の内訳はわかるかと思います。
ただ、実際にかかった費用は見積もりと違う場合もあるため、施工主に請求書で内容ごとに分けてもらうようにします。
内容のわからない「工事一式」のような請求については、内容を明らかにしてもらいます。

また、値引きは最後にまとめて値引きだと、どの部分の値引きかわからないため、内容ごとに値引きを示してもらうか値引き表示のない請求書をもらうようにします。

あとは、請求書の内訳ごとに設備などをわけて、建物と各設備を別々に管理します。
実務では、税理士や施工主と相談しながら、請求書の内容や建物や設備の実物を見ながら、適切な固定資産の分け方などを検討します。

面倒でも複数の固定資産を一式としない

複数台の固定資産をまとめて購入する場合があります。
この場合は、まとめて購入したから一式として管理してはいけません。
1台ずつ固定資産の管理ソフト等に登録しないと大変なことになります。

たとえば、ある会社で営業用の車を5台購入し、まとめ買い車両一式として固定資産台帳に登録していました。
翌年、そのうちの1台が事故を起こして廃車になりました。
さらに、その翌年、営業車1台が不要になったため売却をすることになりました。

このような場合に、まとめて車両一式として処理していると、その車両一式から、事故や売却の1台ずつ台帳から部分的に金額を減らす処理などをすることになり、手間がかかります。
管理ソフトによっては、全部一回車両の情報を削除して、改めて1台ずつ登録しなおしてから廃車や売却の削除処理することになります。

登録の際は手間がかかるかもしれませんが、まとめて買った固定資産でも、きちんと1台ずつ分けて登録・管理しましょう。

どこまで細かく分けていいかの目安

ここまで、固定資産は細かく分けたほうがいいという話をしてきました。
しかし、何でも細かくしてしまうと、固定資産として成立しなくなります。

建物を分けることで、固定資産にせずにネジ1本から全部経費にしてしまうこともできてしまいます。

そのため、国のルールで、どこまでを1つの単位するかが決められています。

通常1単位として取引される単位ごとで分けます。
たとえば、応接セットの場合は、椅子やテーブルが同じデザインとなっているため、イスとテーブル合わせて一式とみます。
別々に買ったイスとテーブルを並べて使っているだけの場合は、別々で処理して問題ありません。

また、その1単位できちんとその用途に合った機能を発揮するかを考えます。
カーテンは1枚単位で購入しますが、部屋の窓に2枚必要だった場合は、2枚で一式とみます。
窓半分だけ1枚カーテンを掛けても眩しさや覗き防止などの本来の機能が発揮されないからです。

先に挙げた建物でいうと、建物と給排水設備を分けて考えることは可能です。
ただ、給排水設備をパイプ1本ずつ分けてしまうと、本来の給排水設備として機能しなくなります。
そのため、工事の内訳を見て「給排水設備一式」として管理します。

まとめ

  • 固定資産は分けることで、税金も管理もメリットがある
  • 国のルール(通常の取引単位、本来の機能発揮できる単位)で分ける

固定資産を取得した時は、中身を分けたり細かく管理することは確かに手間がかかります。
ただ、税金計算や後々の管理を考えた場合には、きちんと分けて管理をしたほうがいいでしょう。

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