ネットの発達により、飲食店や美容室に限らず、サービスを受ける前に事前予約をする機会が多くなりました。
しかし、予約から当日まで期間がある場合、何らかの事情で当日に行けなくなり、キャンセルすることがあります。
特に、当日に近い日にキャンセルをした場合、お店にとっては準備が無駄になる・他のお客様の予約で埋められないため、キャンセル料が請求されることがあります。
請求書を見ると、キャンセル料の請求に消費税が加算されている場合とされていない場合があります。
今回は、キャンセル料に消費税がかかるかどうかを解説しています。
キャンセルの内容で課税かどうか異なる
判断のポイントは、「キャンセル手続きの対価」
キャンセル料には、消費税がかかる場合とかからない場合があります。
その理由は、「キャンセル料」の名前だけでは消費税の判断ができないためです。
キャンセル料の内容を確認して判断することになります。
判断のポイントは、キャンセルの手続きに「対価」があるかどうか、です。
消費税の判断基準は、対価性があれば課税、対価性がなければ不課税とされます。
対価性とは、お金を支払う代わりに、代わりのモノを受け取る・借りる、モノではなくサービスを受けるなどの見返りがあることを言います。
一方的にお金を支払うだけだと、対価性はありません。
たとえば、損害賠償金や保険金など、相手への謝罪や見舞などで一方的に支払うものは対価性がなく、消費税は不課税となります。
課税されるのは、事務手数料
キャンセル手続きという事務サービスを受けたための支払い、ということで対価性があり、課税となります。
キャンセルの時期に関係なく一律にかかる金額が、払戻手数料や事務手数料として課税されます。
航空会社やバス会社、予約サービスサイトなど、一律の払戻手数料を記載しているサイトがあります。
イメージとしては、銀行を通してお金のやり取りをした場合に、内容に関係なく課税の振込手数料がかかる、というのが近いでしょうか。
課税されないのは、利益の補てん・損害賠償
お店が本来得られる予定だった利益を逃したことへの補てんや弁償という意味合いのものは、対価性がなく、課税されません。
本来のキャンセル料の意味合いだと、対価性がないパターンが多いでしょう。
たとえば、ホテルの場合には、宿泊前日は宿泊代の50%、当日は100%のキャンセル料がかかる旨、予約時の確認事項などで掲載しています。
このように、本来の代金に応じた割合の支払いは、利益の補てん・損害賠償として、課税されません。
内容のわからないものは不課税
キャンセル料の内容が損害賠償と事務手数料一緒にしているため内訳不明の場合があります。
このときは、全額を不課税として処理します。
請求が誤りのこともあるので必ず確認
大手の旅行会社や仲介サイトを経由したキャンセル手続きの場合は、サイトへの説明などで内容は明記されていることが多いです。
しかし、中小企業・個人営業などの場合、営業担当者が請求書を作成してあとから経理に書類を渡して処理をすることがあります。
よく見ると、事務手数料ではないキャンセル料に消費税がかかっていた、というケースがあります。
営業担当者が消費税のことがわからないまま、課税の請求書を作成していました。
このように、請求書の作成者自身が誤った請求をするケースもありますので、不明点は必ず確認するようにします。
反対に、自身が請求書を作成する場合は、損失の補てんに「税込」「課税」を記載しないようにしましょう。
なお、税込22,000円の美容院のキャンセル料として、22,000円を請求することは問題ありません。
この場合、22,000円は利益補てんとして不課税になります。
まとめ
- キャンセル料は対価性があるかどうかをみる
- 課税されるのは、事務手数料
- 課税されないのは、利益の補てん・損害賠償・内訳不明
- 請求の消費税誤りの場合があるため、税区分・内容を必ず確認する
- 自分がキャンセル料を請求する場合も注意する
予約キャンセルになった場合は、請求する側もされる側も、消費税の区分に注意しましょう。