現金管理をしないのは水漏れ放置と同じです

税金

個人事業主として経理を正確に、スムーズに行うためには、現金でのお金のやり取りをできるだけ減らすことが大切です。

過去にも「現金はレジ売上だけ」「経費払いで現金を使わない」という記事をかいてきました。
現実には、レジ売上も経費払いも「現金」1つで処理しているケースが少なくありません。

現金管理を放置するのは、水道パイプの小さな穴からの水漏れをそのままにしておくようなものです。

最初は小さな漏れでも、放置すると床や壁が傷んで大きなトラブルになります。
現金のズレも同じで、少しずつ積み重なると、後で大きな経理ミスや税務トラブルにつながります。

銀行口座には通帳という客観的な記録がありますが、現金にはそうした記録がありません。「いま手元にある現金はいくらか?」を自分で数えないと、正確な管理はできません。

今回は、いまの現金管理が正しくできておらず水漏れを起こしている人向けに、応急処置(現状把握と整理)とパイプ交換(業務改善)の仕方についてかいています。

応急処置:現金の実査と帳簿の整理

まずは、現金管理の水漏れ箇所を見つけます。

現金は銀行預金と違って通帳のような客観的な証拠がないため、実際の現金はじぶんで数えないといけません。
今日の営業終了時点で、レジや金庫にある現金をすべて数えます。
1万円札、5千円札、千円札、500円玉から1円玉まで枚数と合計金額を書き出してください。
以下のような表があると便利です。

次に、1月1日(期首)から現在までの現金入出金を現金出納帳にすべて記録します。
紙でもExcelでも会計ソフトでも構いません。
現金を把握していない人は、この記録がリアルタイムにできていない・記録漏れが多いです。

現金の実際残高と帳簿上の現金残高が把握できたら、照合します。
「金額にずれがある=水漏れがある」状態のため、必ず原因を追跡します。
記入漏れや二重記録だったり、レジでのおつりの受け渡し間違いがよくあるずれの原因です。
必要に応じて帳簿を修正します。

ただし、ずれが過年度から続いて修正しきれない、原因不明や金額が大きい場合は、安易にじぶんで雑損失で修正処理をせず、税務署や税理士に相談してください。

ここまでの水漏れの補修が終わったら、今後は定期的な確認を行います。
今後は営業開始前と終了後に毎日必ず現金残高をチェックする習慣を作ります。

パイプ交換:業務改善で現金の流れを整える

応急処置ができたら、今度は現金の流れをスムーズにする「パイプ交換」が必要です。
これは現金の流れそのものを変えるための業務改善にあたります。

必ずしなければいけないことは、レジ現金の売り上げは銀行に必ず入金することと、レジ現金から経費を支払わないことです。

レジ現金は売上の証拠になるので、ここから経費を払うと帳簿との照合が難しくなります。
経費のためにレジ現金から「お金を抜く」行為をすると、そうやって売り上げを意図的に抜いて低くしてプライベートで使いこんで脱税しているのでは?という疑いをもたれる危険があります。

そのため、レジ現金の売り上げは定期的に銀行に預け入れます。
レジではない現場での現金回収の業種でも必ず売り上げはそのまま銀行に預けましょう。

経費支払いでどうしても現金が必要な場合は、銀行から引き出します。

次に、経費の支払いは現金払いを減らします。
現在は企業規模を問わず、振込による取引が一般的なため、毎月現金で支払っている取引先がある場合は、振込や口座振替での対応が可能か一度相談してみましょう。
(現金払いしか無理な場合は、取引先の変更も検討が必要です)

どうしても現金払いが必要な場合は、プライベートの財布から「事業主借」として支払う方法があります。
プライベートの財布からの支払いで経費にできるのか?と思うかもしれませんが、経費は「支払いが事業に直接必要かどうか」で判断するため、どこから払ったかは問題になりません。

整理すると、次のような運用で現金払いを減らせます。

・量販店やホームセンターなどの日常的な支払い
 →カード決済
・毎月発生する取引先への支払い
 →振込・口座振替
・やむを得ず現金しか使えない(印紙代・コインパーキング等)
 →プライベートの財布払い(事業主借)

レジ売上でも現金での受け取りを最小限にします。
高額な支払いはカード決済や振り込みで対応し、現金取り扱いを減らすようにします。
現金売上の割合が減ると、おつり用の現金準備も少なく済みます。

個人の方や小規模の場合、電卓とノートやメモでの売上管理というケースがあります。
これだと客観的な記録がないため、記録が残るレジを使いましょう。
余力があれば現金精算機を店に置く、AirレジやSquareなどの端末を使うといった方法があります。
そこまでは無理という場合でも、1日の売上レシートが出せる機能のあるレジ機械は必須です。

現金管理で重要なのは、現金の扱いそのものを減らすこと、システム(通帳・カード明細・レジ記録)管理に任せることです。

会計や管理が苦手な人ほど、現金を減らしてシステムに任せる方が安全で簡単です。
現金取引のパイプを交換し、そのパイプに過剰に流さない、別の頑丈なパイプ(システム)に誘導することで、現金の水漏れは防げます。

おわりに

現金管理を整えるだけで、経理の手間は減ります。
今日の現金を数えること、帳簿との照合、日々のチェックを習慣化することが第一歩です。

銀行口座やクレジットカードは通帳や明細という客観的な記録が残るため、現金より管理が簡単です。
レジ売上以外での現金使用をやめ、銀行やカード、決済手段に寄せることが、会計処理の正確さと効率化につながります。

私はfreee専門の税理士として、個人事業主の経理や管理をサポートしています。
現金の扱いを減らし、同期できる口座やカード、決済手段に集約することが、数字を正しく管理しながら時間のムダも減らす一番の近道です。

まずは水漏れのチェックとして、手元にある現金を数えてみることから始めましょう

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