個人の確定申告の相談では、「相談」にもかかわらず「資料の丸投げ」「過去の申告書と同じように」と言う人が一定数います。
「数字を入れれば答えが出る」と思われがちな税理士ですが、実際には法律に沿って判断し、制度の要件を満たすかどうかを考える法律職です。
今回は、税理士が計算機のように扱われている感じがしたけれども、実際には法律職だということについてかいています。
税理士は数字だけで動くわけではない
個人の確定申告の相談では、「源泉徴収票や控除証明を机に出すだけで、あとは何も説明しない」方がいました。
相談は、納税者が困っている内容に沿って案内するところです。
「確定申告の方法が全然わからないので教えてほしい」と一言でも言ってもらえると、状況を整理しやすくなります。
資料を出せば税理士が自動的に計算してくれる、という誤解がある方も少なくありません。
実際には法律の前提条件や要件を整理しないと正しく申告できません。
税理士は、申告書の作成前に正しい前提を確認し、事後であればその事実関係に即して法律のあてはめを行い、事前であれば使いたい制度の法的要件に即して納税者が行動できるようにサポートする役割があります。
ゼロベースで資料を検討する
去年の申告書や資料がある場合でも、今年と状況が異なることがあります。
給与や年金の社会保険料は毎年変わるため、過去の数字だけでは正確な計算はできません。
通帳だけではダメなのかといわれることがありますが、通帳は手取り額だけで内容は不明、そして天引き前の金額がわかりません。
そのため、正確な計算には源泉徴収票などの証拠資料が必要です。
また、不動産所得について、「毎年同じ申告内容だから去年の通りで」と言う方がいます。
過年度の申告書は必ずしも正確とは限らず、その裏付けとなる証拠書類(契約書や固定資産税の納付書など)と突合しなければ信頼性は確保できません。
特に、不動産は当月分を前月までに前入金でもらうことが多いですが、期間対応や発生主義できちんとできているケースは少ないです。
過去の申告書だけをみてそのまま書くことは適切とは言えません。
わたしは、必ずゼロベースですべての資料と取引を確認するようにしています。
手書きの無駄な時間を税務の検討に充てる
国がスマホやパソコンなどでの電子申告を推奨しているにもかかわらず、いまだに手書きの申告書やアナログ作業にこだわる方もいます。
電子申告であれば数字の入力のみ(さらにスマホなら撮影のみでいい場合もあります)、申告書への転記や集計は自動で行われますが、手書きだと集計や転記のチェックなど手間がかかります。
当事務所では、パソコンで電子申告を行っています。
最新の様式やシステムに沿った方法で作ること、手書きでの転記や集計・確認の時間を税法の検討に充てることが、正確かつ安全な申告につながります。
申告に限らず、日常的にfreeeやグーグルドライブ、メールといったデジタルでのやりとりをすることで、アナログでの無駄な時間を削いで税理士にしかできない税務の検討を行うようにしています。
おわりに
税理士は計算機ではなく、法律職だということについてかきました。
税理士は、いただいた相談内容や証拠資料を基に、税法の要件を検討し、必要に応じて計算を行うのが仕事です。
数字を入れれば答えが出るわけではなく、法律の前提条件や制度の趣旨を整理した上で正しい申告書を作るための判断をします。
特に個人の確定申告時期は、税理士を計算機扱いする方が一定数いるため、実は法律職だという認識が広まれば…と思いました。
