個人の税金である所得税では、内容によって、収入金額から差し引く必要経費が異なるため、同じ収入金額だったとしても所得金額が違ってきます。
所得金額とは、収入金額から経費などを差し引いた後の金額をいいます。
今回は、収入が900万円だった場合に、内容によって所得金額がどう違ってくるかを書いています。
配当収入
株の配当金収入が900万円あった場合は、基本的には収入金額900万円がそのまま所得になります。
もしその配当の元本である株式のために借入をしていた場合は、その借入金の利息は経費として差し引くことができます。
株の譲渡による収入
900万円の株式を譲渡した場合は、その譲渡の収入から、その株の購入費用や譲渡手数料を引いた金額が所得になります。
不動産賃貸収入、事業での売り上げ
不動産の賃貸収入や事業での売り上げで900万円あった場合は、その不動産賃貸や事業の必要経費を収入から引いた金額が所得となります。
青色申告の場合は、確定申告の時にその金額から特別に最高65万円を控除した金額が所得となります。
なお、不動産賃貸と事業の両方がある場合は、先に不動産の所得から65万円を控除します。
不動産の所得が65万円未満の場合は、引ききれなかった余りを事業所得から控除できます。
控除できるのは合計65万円で、両方からそれぞれ65万円を引くことはできません。
不動産の譲渡による収入
土地建物を900万円で譲渡した場合は、土地建物の取得費等や不動産業者への手数料等を差し引いた金額が所得になります。
ただし、建物は購入してから時間経過で価値が下がる(減価償却)という考え方をするため、購入金額をそのまま差し引けません。
購入金額から減価償却に相当する金額を控除した金額を取得費として、譲渡金額から差し引きます。
また、不動産の譲渡はその譲渡の理由によって特別に所得から控除できる金額があります。
じぶんが住んでいた家(マイホーム)の場合は、3,000万円の特別控除があります。
900万円の譲渡がマイホームの場合は、この特別控除を使うと、所得は0円になります。
給与収入
900万円の年収に対して、毎月の給与や賞与の金額に応じた税金や社会保険料などが天引きされた金額が手取りになります。
900万円の収入金額に対して、国が決めた控除額195万円を差し引いた705万円が給与所得になります。
12月の給与で年末調整を行い、705万円をベースに計算した税額と毎月の天引き額の差額を精算します。
なお、給与の金額から控除される金額は国が決めています。
国税庁の下記ページで控除される金額の一覧表や、実際の給与金額を入力して所得を計算するフォームがあります。
退職金収入
退職金が900万円だった場合は、勤続年数によって所得がかわります。
退職金の額から、勤続年数に応じた次の控除額を控除した残額の2分の1が所得になります。
勤続年数が20年以下の場合は、40万円×勤続年数(一年未満切上)の金額を退職金から控除します。
勤続年数が20年を超えた場合は、800万円と70万円×20年を超える部分の勤続年数の合計額を退職金から控除します。
たとえば、15年勤続していた場合は、40万円×15年=600万円が控除額になります。
所得は、(900万円-600万円)×1/2=150万円です。
ちなみに、控除額のほうが多い場合は、所得は0円になります。
おわりに
ここまで、収入が900万円だった場合の所得金額の違いについて書きました。
代表的なものをざっくりと書いているため、実際には競馬で当てた場合の収入やFX取引の場合、山林の譲渡の場合など内容に応じて検討しています。
収入や売り上げ金額だけに目が行きがちですが、収入金額だけでなくその内容も意識することが大切になります。
そのため、同じ収入金額でも、まずは内容によって所得金額が違ってくることだけでも知ってもらえたらと思います。