過去の職場のデジタル環境で思うこと

雑感・雑記

『税務弘報』(中央経済社)の2024年1月号を見たところ、会計事務所のデジタルに関する特集記事がありました。
その中には、ひとり税理士の方から大手税理士法人の方まで様々な方がデジタルに関する取り組みを書いていて、読んでいてためになるものが多かったです。

税務の専門誌で職場のIT環境についてかなりのページを割いていたことに驚きました。
規模を問わず会計事務所は急速にデジタル化が進んでいることを実感しました。

今回、振り返って過去の自分の職場(会計事務所・病院・システム会社)はどうだったのかを書いてみます。

会計事務所

記帳代行を行う昔ながらの会計事務所と、税務相談メインの事務所に在籍したことがあります。

記帳代行型の事務所は、メールなし、未整理の領収証や通帳コピーなどが封筒や箱で送られてくるといった状態でした。

業務としては、ひたすら紙資料を見て入力し、申告書は直接税務署持ち込みか郵送をしていました。

チェック作業は電卓で、エクセルは信用できないということで上司は電卓を叩いて検算するという状態でした。

とにかく目の前の作業をどうにかする、という感じで、業務改善や考えることすら許されない雰囲気がありました。

一方、税務相談メインの事務所は、記帳代行がなかったため、紙資料を使うことがほとんどありませんでした。
やりとりは電話とメール、対面といろいろありましたが、FAXを使ったことは記憶にないくらいです。

また、FAXの受信に関しても、必要なものだけメモリから呼び出して印刷したり、メールでPDF転送する仕組みのため、紙の使用は最低限でした。

事務所にあった紙は、過去の申告書と税務関係の本ぐらいでした。
空いたスペースに様々な本を置いて比較検討するのが楽しかった記憶があります。
エクセルを駆使して…もなく、税務だけだったので、ITができなくても困らない感じでした。

病院

医療事務の部署(いわゆる医事課)と総務関係の部署に在籍したことがあります。

ちょうど紙カルテから電子カルテへの移行タイミングの時期でした。
紙カルテでの運用は、患者さんの検査データをカルテに貼り付ける、その日来院した患者さんのカルテを棚から出して診察室にもっていく、お会計終了後に棚に戻す、といった作業が大変でした。
予約なしできた患者さんのカルテがどこにあるかわからない、といったこともあります。

この点、電子カルテだと検査データの貼り付けなどはなくなりました。
そのかわりに、患者さんが持参した紹介状のスキャンなどの作業がありました。
診断書作成も医師の意向によって紙にサイン・電子署名が異なっていました。
また、「電子カルテ導入前の状況が知りたい」と言われて紙カルテを探したこともありました。
そのため、電子カルテになっても仕事量は変わらなかったどころか、紙と電子の併用で増えていたように思います。

古い病院だったため、診療以外の事務は完全にアナログ運用で、総務課の中もPCがLANにつながっていませんでした。
どうしても必要なら席をどいてもらう、という状態です。
経理処理も、仕訳伝票を専用の機械で印字してハンコを押して上司に渡す、という、会計事務所でも経験したことのない古い慣習を経験できたのは珍しいかもしれません。

病院関係だと、どうしても事務まわりはおざなりになりますが、それが極端に出ている感じでした。

システム開発会社

時系列でいうと、システム開発会社が一番古い在籍時期でしたが、一番デジタル化が進んでいました。

各開発現場に職員を常駐派遣するタイプの会社だったため、連絡はネットが必須でした。
個人にメールアドレスがきちんとあり、LANを通してサーバーの個人フォルダに必要なデータは保存することになっていました。
というのも、職場のパソコンは、いつ・誰が・どの現場に持っていくかがわからないため、パソコンのローカルにデータを保存しただけだと、次の日にはそのパソコンがない、という危険があったためです。

人事情報などの業務連絡ははメーリングリストで配信され、部署間での情報共有もメールが中心でした。
また、業務は日報と週報を上司にメール送付するルールでしたが、エクセルで様式がありました。

日報を週報にするボタンを押すと自動で週報ができあがるというしくみ(マクロが組んであったようです)に驚きました。

システム屋は、いかに効率よく・楽をするか、という発想の人が多かったため、そういう考え方が必要というのは勉強になりました。

おわりに

ここまで、わたしが在籍した職場のデジタル環境を振り返ってみました。
時代や環境ではなく「いかに効率よく・楽をするか」を考えるシステム屋が一番重要かなと思います。
冒頭で書いた『税務弘報』には、税理士事務所のデジタル対応がいろいろ書かれており勉強になりました。
最初から全部取り入れて完全デジタル効率化、というのは難しくても、「どうしたら楽にできるか」でちょっとずつ自分なりに効率化できればと考えています。

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