病院での収入は、患者さんに対して診療行為を行い、請求金額が確定した時点で計上します。
収入のメインは、外来診療として毎日その日にレジで受け取る収入と、入院診療として月末にまとめて請求して翌月以降に受け取る予定の収入があります。
病院特有の経理として、治療費のほとんどは患者さんからではなく、社保や国保といわれるところへ請求し、そこから入金されるというものがあります。
今回は、診療収入の経理を行う時の考え方と処理について書いています。
外来診療の収入の考え方
外来診療の場合は、その診療行為を行った日に、請求金額が確定します。
そのため、患者さんの自己負担分は、診療をした日に収入として計上する必要があります。
たとえば、10月15日に外来患者さんの自己負担分1,000円を現金で受け取った場合は、10月15日に次のように経理します。
10月15日の経理
(借方) 現金 1,000円 (貸方) 外来診療収益 1,000円
その日に未収となってしまった場合は、たとえ現金をもらっていなくても、請求はすでに確定しているため、10月15日に収入を経理する必要があります。
10月15日の経理
(借方) 外来未収金 1,000円 (貸方) 外来診療収益 1,000円
入院診療の収入の考え方
入院診療の場合は、毎日患者さんに請求することはありません。
入院した日と同じ月に退院した場合と、翌月以降も入院する場合で処理が変わります。
入院した日と同じ月に退院した場合
退院時にまとめて請求し、収入を計上します。
たとえば、10月15日に入院し、10月20日に退院した患者さんの自己負担分50,000円を、退院時に現金で受け取った場合は、退院時に収入として計上します。
10月20日の経理
(借方) 現金 50,000円 (貸方) 入院診療収益 50,000円
翌月以降も入院する場合
基本的には、月末で区切って毎月請求します。
月末で区切る理由は、レセプトでの請求が月末で区切って請求となっているため、そこに通常は合わせています。
入院費の算定は、日々も医療事務職員が行っていますが、1か月分の金額が確定するのはその月が終わってからです。
そのため、10月分の入院費の計算を11月に行い、11月10日頃に患者さんに請求し、支払ってもらう、という流れになります。
経理では、計算は11月で行っていても、10月分の治療費のため、10月の月末である31日に計上するという考え方になります。
たとえば、10月15日に入院し、11月も入院中の患者さんの自己負担分が150,000円だった場合は、月末の10月31日に収入として計上します。
この時点では患者さんから入金がないため、一度、未収金として処理をします。
10月15日の経理
(借方) 入院未収金 150,000円 (貸方) 入院診療収益 150,000円
そして、11月10日に請求書を患者さんに渡して、11月10日中に入金された場合に未収を解消する処理を行います。
11月10日の経理
(借方) 現金 150,000円 (貸方) 入院未収金 150,000円
レセプト請求の考え方
病院特有の経理として、レセプトを社保や国保に提出して入金されるというものがあります。
これは、患者さんが病院で診療を受ける場合は、保険証を提示します。
一般的な会社員の場合は3割負担ということをご存じの方もいるかと思います。
保険証を提示することによって、会社員の患者さんは治療費の3割を病院の窓口で支払います。
では、残りの7割はどうなるのかというと、病院が社保や国保などにレセプトという患者さんごとの診療の明細を提出して治療費を請求することになります。
つまり、1つの治療費を患者さんと社保・国保の2か所に請求しています。
レセプトは、毎月の月末締め、翌月10日までに社保や国保に提出して請求します。
基本的な考え方は、入院の場合と同じです。
10月分の請求については、11月にレセプトのチェックを行い、11月10日までに提出をします。
レセプトのチェックなどの作業は11月に行っていても、10月分の請求のため、10月31日に収入計上します。
たとえば、10月分の外来1,000,000円、入院12,000,000円のレセプト請求を11月10日に社保に行った場合は次のようになります。
10月31日の経理
(借方) 外来未収金 1,000,000円 (貸方) 外来診療収益 1,000,000円
(借方) 入院未収金 2,000,000円 (貸方) 入院診療収益 2,000,000円
なお、入金は請求月の2か月後(10月分であれば12月20日頃)にされます。
その際は未収金の解消を行います。
まとめ
- 外来診療は、その日の収入
- 入院診療で入院した月に退院の場合は、退院時の収入
- 入院診療で翌月以降も入院する場合は、毎月月末の収入
- レセプトは、毎月月末の収入
特に、入院やレセプトの場合は、作業する月と請求する月が異なるため、注意が必要です。