税理士試験を受けるときに、就職活動のような明確な動機や理由付けは、いらないとはおもいます。
ただ、早くて2年、長くて10年以上かかる試験のため、自分での受験に対する気持ちを、揺らさないようにすることは大切です。
そのためには、ほかの道があるのに、なぜ税理士試験の道を進むのか、機会があれば考えたほうがいいかなと思います。
本当に税理士でないとやりたいことはできないか
大学生であれば、税理士試験にお金と時間かけるエネルギーで、新卒で大手企業や公務員への就職活動をがんばるということができます。
独立開業するだけなら、税理士や資格がなくてもできます。
自分でお店を開く、ネット上で何かする、といった選択肢はいろいろあります。
また、専門性の高い国家資格なら、税理士などの士業でなくても、ほかの国家資格があります。
例えば、医療系だと臨床工学技士は、機械の管理など細かい数字を扱う、お客さん(患者さん)と接することもある、国家資格専門職という点は税理士と共通しています。
さらに、医療系資格は、税理士資格よりも次の強みがあります。
- 専門学校の費用は、税理士試験の受験費用より高いけど、資格試験の合格率が高い
- 「試験合格=免許取得」のため、税理士のように資格の登録・維持のための費用負担がない
- 同僚・先輩・上司はすべて有資格者(税理士事務所のように無資格ベテラン職員がいない)
- 医療系職種は人手不足の職場が多く、よほどのことがない限り食いつなげる
- 病院の職場環境や年収は、税理士事務所よりも良いことが多い
- 医療行為は人の手による部分が多いため、AI等に変わられるリスクは税理士より少ない
このように、税理士試験の受験への労力でほかにできることはあるかもしれません。
もしかしたら、ほかのことの方が向いているかもしれません。
本当に税理士試験を受けないといけないか
大学生なら、公認会計士や弁護士をとって、そこから税理士になるパターンもあります。
わたしがTACで受験勉強しているあいだに、大学生が公認会計士試験に受かっていくのを何年も見ています。
また、公務員試験で国税専門官になり、そのあと国税OB税理士になる、という道もあります。
税理士試験を受けずに税理士になる方法といえば、大学院免除が定番でしょうか。
昔は大学院に2回行くと全科目免除になるという方法があったようですが、現在は会計科目か税法科目のいずれか免除のみとなっています。
大学院の入学試験を受けて、通学・ゼミ・論文といった活動ができるなら、このルートもありでしょう。
大学院免除のための受験予備校もあります。
受験負担軽減のために、地方税受験するか大学院で免除狙うか、ではなく、地方税受験の保険として大学院にもいく、という選択肢もありかなと思います。
わたしは、河合塾KALS(社会人の大学編入や大学院入試などの河合塾)に説明だけ聞きに行ったことがあります。
残り1科目の受験と大学院免除のための通学で、諸条件を比較した結果、受験を選びました。
それでも税理士試験を受けるなら
正直、ここまで書いたような、なぜ税理士になりたいか、税理士試験を受けるのか、に対する答えは、出せなくてもいいと思います。
ポジティブな理由、ネガティブな理由、理由なんてない。
なんでもいいので、とにかく取るときめたら取りきるという意志力だけは必要かなと思います。
冒頭にも書きましたが、税理士試験は早くて2年、長くて10年以上かかる試験です。
理論暗記がすすまない、勉強しても思うように伸びない、結果が出なかった、仕事や生活環境の変化などのタイミングで受験勉強が嫌になるときがあります。
そんなときに、最初に税理士受験を志したときのことを思い出すと、頑張れる動力源になるかなと思います。