駐車場貸を行う方のインボイス交付対応については、コインパーキングなどの時間貸駐車場か、月極駐車場で、対応が異なります。
ここでは、インボイス登録をしたコインパーキングなどの時間貸駐車場の貸主側の方が、利用者・借主の方へのインボイスの交付について、どういう対応が必要になるかを記載しています。
具体的には、次の2点の作業が必要になります。
- 簡易インボイスを交付する
- 写しは、年末(事業年度末)から7年2か月保存する
とりあえず登録したけれども、実際のインボイスの交付方法がわからない方への参考になるとおもいます。
なお、月極駐車場の場合のインボイス対応は下記記事をご参照ください。
コインパーキングもインボイスの交付義務がある
コインパーキングは、基本的に駐車場の機械で料金の精算を行います。
そのため、3万円未満の場合にインボイスの発行義務が免除されている自動販売機と感覚は同じように思えます。
しかし、国のルールでは、コインパーキングは自動販売機とちがってインボイスの交付義務があります。
自動販売機はジュース購入と料金精算が同じ機械で行われています。
一方、コインパーキングは料金精算と駐車場貸しが同じ機械だけで完結していないというのがその理由です。
ただし、コインパーキングは通常のインボイスとは異なり、簡易な記載のインボイスの交付が認められています。
簡易な記載のインボイスの対象業種として「駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限る)」が明記されているからです。
コインパーキングの簡易インボイス例
基本的には、従来のレシートに登録番号が追加されたイメージです。
簡易インボイスでの記載事項の一覧とレシート見本は次のようになります。
ちなみに、原則のインボイスとの違いは次の2点です。
- 請求先(利用者)の名前の記載は不要
- 消費税額等と適用税率片方だけの記載でいい(両方記載でもいい)
機械で精算する方式の場合は、恐らく大手の不動産業者のシステムを導入しているかと思います。
そのため、インボイス対応として、レシートへの印字内容に登録番号の追加をお願いする必要があります。
精算に機械を使わない時間貸し駐車場や駐輪場の場合も、上記と同じ記載内容のインボイスの交付が必要です。
パソコンやレジなどで記載内容の印字が困難な場合、手書きでもインボイス交付はできますので、カーボン紙で手書きや角印で対応しましょう。
市販の領収証に手書きした場合のインボイス見本は次のようになります。
簡易インボイスは、ルール上宛名記載不要ですが、この様式のカーボン紙での宛名空白は不自然なため記入しています。
交付したインボイスは写しの保存義務がある
なお、交付したインボイスは写しの保存義務があります。
「写し」は必ずしもレシートのコピーである必要はないため、たとえば下記の保存でも足ります。
- 機械の場合は、システム内部にある発行日時や金額などの履歴(レジのジャーナルのようなもの)
- 手書きの場合は、カーボン紙の控え
なお、消費税法で規定するインボイスの保存期間は、交付した年の年末(法人は事業年度末)から7年2か月です。
たとえば、2023年に交付した請求書は、2031年2月末まで保管が必要です。
まとめ
コインパーキングなどの駐車場貸駐車場の貸主側によるインボイス交付についてのまとめです。
- 機械精算式のコインパーキングも、インボイスの交付と保存義務がある
- 利用者が不特定多数のため交付するのは、簡易インボイスでいい
- 交付した簡易インボイスの写しは、年末(事業年度末)から7年2か月保存
とりあえず登録したけれども、実際のインボイスの交付方法がわからない方への参考になるとおもいます。
<参考>
国税庁 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A
問25(適格簡易請求書の交付ができる事業)
問26(適格請求書の様式)
問27(手書きの領収書)
問47(自動販売機及び自動サービス機の範囲)
問53(屋号による記載)
問76(適格請求書等の写しの範囲)
問77(適格請求書の写しの保存期間等)