税金を集める4つの考え方

税金

日本には、約50種類の税金があります。
国の運営のためにお金が必要なため、様々なものに税金をかけることで、お金を集めています。

そのお金の集め方である税金の課税方法は、大きく4種類の考え方があります。

たとえば、今持っているお金が750円のAさん、250円のBさん、50円のCさんがいたとします。
この3人から、300円を集めるためにどうしたらいいかを考えることが、税金の課税方法を考えることにつながります。

今回は、上記の例を通して、税金の課税方法についての4つの考え方について書いています。

全員から同じ金額を集める

まず最初に思いつくのが、全員から同じ金額として100円ずつ集める方法です。
これは、全員同じ金額の負担だから平等だと思えます。

実際に、3人から100円ずつ集めた場合は、次のようになります。

Aさんは何とも思わないかもしれません。
Bさんは、持っているお金の半分を取られるため、少し苦しくなります。
Cさんは、残りがマイナスとなるため、払うことができません。

このように、同じ金額を払う方法だと、持っているお金が少ない人は困っていまいます。

実際の税金だと、消費税がこれに近いです。
子どもでも大人でも、100円のモノを買ったら、10%の10円の税金を払います。
子どもと大人では、10円の負担の重みが異なるのは感覚的にわかるかと思います。

これは、持っているお金が少ない人ほど結果的に負担が重くなる逆進性という言葉で消費税の問題点としてよく挙げられる話です。
消費税がかからないもの、軽減税率のもの、などで逆進性の緩和がとられています。

特定の人だけ集める

次に思いつくのは、お金を多く持っている人だけに負担してもらう方法です。
実際に、一番お金を持っているAさんに300円負担してもらった場合は、次のようになります。

BさんとCさんは、払わなくていいのでうれしいでしょう。
でも、Aさんは、自分だけ負担することに納得がいかないと思います。
もし、Aさんが嫌になって逃げてしまったら、BさんとCさんだけでは負担できず、どうしようもなくなります。

実際の税金だと、持っている人だけが払う固定資産税や自動車税がこれに近いです。
家や車を持っている人にだけ課税し、持っていない人には課税されないようになっています。

全員から同じ割合で集める

もう1つ平等と思える方法は、全員同じ割合で集めることです。

3人あわせて持っているお金は1,000円で、集めるお金は300円。
割合にすると、30%集める必要があります。
そこで、3人から持っているお金を30%ずつ集めることにした場合は、次のようになります。

AさんとBさんは、負担するお金が多いですが、残りのお金が多いこともあって、3人が同じ割合の負担だからまぁ納得できるかなと思えます。
しかし、Cさんは負担するお金が少なくても、残りのお金が少ないため、これでも苦しいと感じます。

実際の税金だと、一年間の所得(利益)に同じ税率をかける住民税や法人税がこれに近いです。
なお、Cさんのような場合の対策として、住民税は一定金額以下の人は非課税、法人税は800万円以下の部分は税率が低いなどで対応しています。

負担能力に応じて集める

最後に、負担能力に応じてお金を集める方法があります。
持っているお金を平等に30%負担にした場合、Cさんは残りのお金が少ないため苦しいと感じていました。

そこで、Cさんの負担を少し減らして、余裕のあるAさんに負担してもらうようにします。
この場合の、3人から集めるお金と残りのお金は次のようになります。

持っているお金に対する負担割合は、Aさんは31%と、30%負担より少し増えました。
残りのお金が多いため、10円増えただけならまぁ納得できるかなという感じになります。

Cさんは、金額だと10円減っただけですが、割合だと30%から5%とだいぶん負担が軽くなりました。
Cさんは、これならなんとか払えるかなとなります。

このように、負担できる能力があるほど負担を高くする税金は、所得税と相続税があります。
所得税は1年分の収入に応じて、相続税は相続で取得した財産額に応じて税率が上がっています。

まとめ

お金の集め方である税金の課税方法についてのまとめです。

  • 全員から同じ金額を集める(消費税)
  • 特定の人だけ集める(固定資産税、自動車税)
  • 全員から同じ割合で集める(住民税、法人税)
  • 負担能力に応じて集める(所得税、相続税)

複数のお金の集め方を変えることで、できるだけ公平な税負担になるしくみになっています。

今回かいた内容は、子どもに税金について考えてもらう租税教室という、税理士が学校で行う出張授業で扱うものです。
税金をテーマにして、税金の知識だけでなく平等と公平の違い、立場の違う人を思いやることなどを考えてもらう狙いもあります。

実際には、それぞれの税金の中に負担を軽減するしくみ(消費税がかからないもの、所得税の扶養控除など)があり、上記のような単純な課税方法ではありません。

それでも、今の子どもが学校で習う内容でもあるため、ざっくりと考え方を知っておくことは、悪くないかなと思います。

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