土地や株などの資産を売却した相談を受けるとき、必ず「それを買ったときの資料はありますか?」と確認させていただいています。
そのとき、「え?売った話をしているんだけど、なんで買ったときの資料が必要なんですか?」と言われることがあります。
売却の話をしているのだから、売ったときの契約書や仲介手数料の資料だけで十分だと思われる方が多いようです。
しかし、資産を売却したときの計算は、「売ったときの資料だけ」で行うと税負担が高くなってしまいます。
今回は、実は買ったときの資料も必要になる理由についてかいています。
資産売却の税金は「売値 - 買値」で計算する
土地や株式などの資産を売ったときの利益(所得)は、次のように計算します。
売った金額 - (取得費 + 売却費用)=利益
ここでいう「取得費」とは、その資産を手に入れるためにかかった費用です。
これは、300円で仕入れたリンゴを500円で売ったときに、
売値500 - 仕入値300 = 利益200円
になるのと基本は同じです。
資産の売却も基本は同じで、売った金額から買ったときの費用を引いて利益を計算します。
そのため、資産の売却の相談の際は、売却時の契約書や売却手数料等に関する資料だけでなく、購入時の売買契約書や購入手数料の領収書、相続のあった資産だった場合には相続の資料などを確認することになります。
買ったときの資料がない場合
「買ったときの資料はないんですが、売ったときの資料だけで申告できませんか?」と言われることもあります。
結論から言うと、申告自体はできます。
ただし、先祖代々の土地を相続した、買った時から何十年も経過し資料が残っていないなどの理由で取得費がわからない場合、取得費は売却価格の5%として計算することになります。
例えば、土地を2,000万円で売った場合で考えてみます。
取得費がわからないと、取得費は次のようになります。
2,000万円 × 5% = 100万円
この場合、利益は
2,000万円 - 100万円 = 1,900万円
として計算されてしまいます。
実際には、1,000万円で買っていた、購入手数料を払っていたなどのように100万円よりも取得費は多いケースのほうが大半です。
土地1,000万円、購入手数料50万円で取得した場合は、取得費は合計1,050万円になります。
この場合、利益は
2,000万円 - 1,050万円 = 950万円
で計算されます。
そのため、先祖代々の土地で全く取得費が不明な場合は、取得費は売値の5%で計算するしかありませんが、取得の状況がわかる場合は、できる限りその資料を用意する方がいいです。
さらに、相続でその土地を取得していた場合、前の持ち主(被相続人)の取得費を引き継ぐだけでなく、その土地を自分の所有にするためにかかった相続登記費用なども取得費になるため、相続時の資料も必要になります。
おわりに
資産の売却時には、買った時の資料も必要な理由についてかきました。
売ったときの話に意識が向きがちですが、税金の計算では買ったときの資料も重要になります。
そのため、売却時やその後の確定申告で慌てないよう、事前に購入時や相続時の資料は整理しておくと良いでしょう。
