税務相談は事実と根拠の確認が大切

雑感・雑記

税務相談を受けていると、「ネットにはこう書いてありました」「YouTubeでこう言っていました」「AIに聞いたらこう答えました」という方が最近は増えてきました。

事前に調べてから相談に来てくださるのは、とても良いことです。
ただ、少し詳しく話を聞いてみると、「その情報、相談者さんのケースには当てはまらないかも…」ということが意外に多くあります。

税金の話は、答えだけを見ると分かりやすく感じます。
しかし、その答えにたどり着くまでに、前提条件の整理と、法的根拠の確認が欠かせません。
前提条件が違えば、同じテーマでも結論が変わります。
今回は、税務判断で大切な考え方についてかいています。

計算より前に大切な、事実と法律へのあてはめ

税理士というと、「税金計算が得意な人」「数字を扱う人」というイメージする人が多いです。

でも、税金の計算は自由に行うわけではありません。
所得税や法人税の計算方法は、所得税法・法人税法などの税法で決められています。
申告書も、その法律に沿って作られています。
そのため、わたしは税理士を「計算作業の代行屋さん」ではなく、「事実関係を税法に則って判断する専門職」と考えています。

わたしは、税務の判断を次の流れで行います。

1.事実関係の確認
2.当てはまりそうな法律・通達・裁決事例などの確認
3.事実関係を法令等にあてはめ
4.その結果として、適用すべき計算方法を選び、計算・申告を行う

特に、1つ目の「事実関係の確認」には時間をかけています。
相談者さんに質問してみると、意外にも事実関係をきちんと説明できないことが多いのです。
何がわからないのかもわからないまま、税理士に相談しているケースもあります。
自分の取引やお金の流れ、事実関係を自分でも完全には把握していないことがあるのです。

そのため、少し嫌がられても、しつこく確認するようにしています。
この事実関係が確定しない・ずれていると、結論自体が変わってしまいます。

川で例えるなら、上流がちゃんとしていないと下流がおかしくなるようなものです。

飲食店のオーダー確認のように、まず正確に状況を把握することが土台になります。
単に「ケーキ」と注文されても、ケーキには苺のショートケーキ・チーズケーキ・モンブランなど様々あるため、注文間違いを防ぐために苺のショートケーキで間違いないかなど確認するのと同じです。

相談内容に合わない情報もある

税務相談では、事前に調べた情報をもとに「〇〇にはこう書いてありました」と話が始まることがあります。

でも、詳しく話を聞くと、想定している前提条件が相談者さんのケースと違ったり、一般的な取扱いを前提にした説明になっていることがあります。

また、過去に税理士が関与していたケースであっても、特殊な取引について「事前に税理士と検討しましたか?」と聞くと、実はそこまで踏み込んで検討していなかったこともあります。

特殊な取引は税務リスクが高いため、「これまで大丈夫だった」「ほかの人もやっている」という理由だけで判断するのは危険です。

関係しそうな法律や通達は何か、どの要件を満たす必要があるか、その取引がどの規定に当てはまるかを整理し、法的根拠をもとに検討することが大切です。

税務は基本的には事実関係と法律のあてはめが大切です。
現場では暗黙のルールや経験則もありますが、判断の土台としては法的根拠の確認が基本です。

ここで大切なのは、誰が言ったか、誰が関与していたかではなく、その処理や判断がどの法律・通達・規定に基づいているかという点です。
この法的根拠が最終的な結果に大きく影響します。

おわりに


税務判断で大切な事実と根拠の確認についてかきました。
個人事業主の方でも、「きちんとやっていきたい」と考える方ほど、法律や通達などの根拠まで確認しようとします。

もちろん、税法はそのまま読むと難しいです。
それをかみ砕いて分かりやすく伝えるのが税理士の仕事だと思っています。

わたし自身、ブログでは読みやすさを優先して、すべての法的根拠に触れていないこともあります。
わたしに限らず税理士が行う税務相談の場では、国税庁のサイトや根拠となる規定も伝えることが通常だと思います。

税金の話では、「答えが何か」だけでなく、「なぜその答えになるのか」を知ることがとても大切です。
相談の場においては、前提条件と法的根拠も確認することが重要です。

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